犬猫のマスクの誤食、コロナ禍以降も日常的に発生 外した後も机に置かず徹底管理を
新型コロナウイルス禍以降、私たちにとって身近なアイテムとなった「マスク」。管理を誤ると、飼っているペットを苦しめることになるかもしれない。犬や猫がマスクを誤食してしまう事故が各地で起こっている。対応を誤れば命に関わる問題。獣医師に原因や対策を聞いた。 【写真】犬が食べてしまったマスクひも＝モリヤ動物病院提供 「コロナが落ち着いてきた今でも、マスク本体やマスクのゴム紐の誤食は日常的に起こっています」 東京都と神奈川県に2院を展開するモリヤ動物病院のホームページは、このような文章とともに、マスクのひもを食べてしまった犬の症例を紹介。誤食してすぐの来院だったため、吐き気を促す注射を打ち、10分程度でひもを吐き出したことがつづられている。副院長の森谷菜穂子さんは「コロナ前はマスクやマスクひもを誤食する症例はなかった。コロナのピーク時よりは件数は減っているものの、マスクは犬や猫が誤食しやすいアイテムの一つになっている」と明かす。 HALU代官山動物病院（東京）の游桃子院長も「マスクの誤食は、定期的に起こっている」と指摘。犬も猫もマスクのひもに興味を持つほか、犬の場合は、マスクについた飼い主のにおいにも反応するそうで、着用していたマスクを机の上に無造作に置いたり、ふたのないごみ箱に入れたりすることで、事故につながるという。 マスクの誤食によって最悪の場合、どんなことが起こるのだろうか―。やはた動物病院（岡山市中区八幡）の高尾幸宏院長は「のみ込んだマスクは消化されることはない。腸閉塞を起こし、命を落とす危険性もある」と言う。吐き出すことができなかった場合は、内視鏡で取り出したり、開腹手術が必要になったりするという。「特にお子さん用の小さなマスクはのみ込みやすいので注意してほしい」と呼びかける。 今後、寒くなるにつれ、風邪やインフルエンザなど感染症が流行し、マスクを着用する機会が増えていくだろう。犬や猫がマスクをのみ込んだかもしれないと思ったら、すぐに動物病院に相談することが大切だ。時間が早ければ早いほど、処置の選択肢も広がる。一番恐ろしいのは、知らない間に食べてしまい、飼い主が気付かないというパターンだ。そのようなことが起こらないように管理徹底が欠かせない。 ペットを飼っていないからといって油断してはいけない。ポケットに入れていたマスクが気付いたらなくなっていたという経験はないだろうか。もし、道端に落ちていたとしたら、そのマスクを動物が誤って食べてしまうかもしれない。十分に気を付けてほしい。 各病院に聞いたマスクの誤食を防ぐためのポイントは以下の通り。 ■マスクを机や床に置きっぱなしにしない ■ごみ箱はふた付きのものを利用する ■バッグの中に入れているマスクも危険。バッグを手の届かないところに置くか、チャックを閉める ■マスクで遊んでいたら、様子見せずにすぐに取り上げる ■「マスクなんか食べるわけがない」と過信しない
