美容医療の近未来。アンチエイジングを叶えられるのは富裕層だけになるのか?
ボトックスやフィラー、サプリメント、そして美と健康を管理するスマートウォッチ。永遠の若さを求めてしまうのは世の常だが、美容における経済的格差は今後ますます開いてしまうのだろうか。UK版『ELLE』より。
美容投資をすれば老いは避けられるのか
最近、20歳の頃と全くと言っていいほど変わらないクリスティーナ・アギレラ(43歳)の動画がTikTok上で拡散された。美容医療にありがちな頬の不自然な膨らみやおでこのテカリもなく、これぞ完璧な“仕事”であると多くの評論家が指摘した。 一方、アギレラへの反応とは対照的に、リアリティショー『ラブアイランド』の参加者の写真を見た何百万人もの人々が、彼女たちの年齢について憶測する事態となった。SNSでは、20代前半から半ばの彼女たちが、ボトックスやフィラーを大量に注入したため、実際の年齢よりもはるかに老けて見えるという意見が広がった。膨らみすぎ、テカりすぎ、引きつりすぎ......。彼女たちに宛てられた批評の声は容赦がなかった。
若返ることへの過度な期待が原因に
「アンチエイジングに取り組むプレッシャーは、かつてないほど大きくなっています。美の基準とは何であるかを、私たちは問われているのです」と話すのは、『アグリー:ギビング アス バック アワー ビューティ スタンダード』の著者、アニタ・バグワンダス。 「エイジングケア業界はここ数年で急成長し、非常に多くの新製品やサービスを生み出しました。そのせいで、各年代のあるべき姿や年齢の重ね方への期待に歪みが生じているのです」 クリスティーナ・アギレラも『ラブアイランド』の参加者たちも、若く見せるために明らかに美容施術による手を加えているが、一方が称賛されているのに対し、もう一方は辛辣な批判を受けている。これはアンチエイジングに関して、私たちが世間の注目を浴びる女性や自分自身に対して、高過ぎる期待を寄せていることを示唆している。
スキンケア以上の効果を求めて
かつては髪をカラーリングし、ナイトクリームを使うだけで十分だったはずが、今では、あり得ないほどフレッシュな自分の顔(つまり、永遠の20歳であるアギレラのような)の亡霊を振り払うことができずにいる。これは決して安くはない対価と引き換えに、永遠の若さを約束する美容医療業界が生み出した幻想だ。 「今日では、どれだけのお金を美容に投資するかが、将来大きな違いを生むと思われています」とバグワンダスは続ける。「最高の美容外科医や注射専門医は、誰が見てもわからないような自然な仕上がりを目指します。しかし、誰もがトップレベルの施術を受けられるわけではありません」