今年の世界平均気温が史上最高、産業革命前から1・5度上昇見通し…パリ協定目標「大きな危機」
【バクー=天沢正裕】世界気象機関(WMO)は11日、今年の世界平均気温が観測史上最高となり、産業革命前と比べた上昇幅が1・5度に達する見通しとする報告書を公表した。「1・5度」は温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」が掲げる上昇抑制目標で、WMOは「目標が大きな危機に直面している」と警告した。
報告書は、アゼルバイジャンの首都バクーで同日開幕した、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に合わせて公表された。WMOによると、今年1~9月の世界平均気温は、産業革命前より1・54度高かった。昨年は同1・45度高く過去最高となったが、今年はこの記録を超えて上昇幅が1・5度に達すると見込まれるという。
WMOは気温上昇とともに、氷河の減少が加速し、海洋の温暖化も続いていると警告している。国連のアントニオ・グテレス事務総長は「気候災害は健康を破壊し、不平等を拡大し、平和の基盤を揺るがしている」とするコメントを出し、各国に気候変動対策を確実に進めるよう求めた。
WMOはパリ協定の目標について「1・5度を超える年が1年あっても、達成できなかったとは言えない」と言及し、通常は数十年以上の長期にわたる超過を対象にするものだと補足している。