[特集/プレミア戦線異常アリ 04]TOP4に食い込むか!? 上位戦線をかき回すダークホースはこの3クラブ
監督交代を決断したマンU アモリム体制で浮上するのか
現状は中位に沈むが、選手の顔ぶれを考えればマンチェスター・ユナイテッドの動向も気になるところだ。前任者のエリック・テン・ハーグは開幕当初から勝点を伸ばせず、10月下旬に退任となった。スポルティングCPからルベン・アモリムを引き抜いたが、これでチームがどう変わっていくのか注目される。 「いまの状況は変わるはず。チーム力を高めるためには、継続性が大事。同じことを続ける時間が必要だ」 これは15節フォレスト戦に2-3で敗れたあとのアモリムのコメントで、すぐに結果は出ないかもしれない。実際、12節イプスウィッチ戦から指揮を執るが、プレミアでは1勝1分2敗となっている。ELではボデ・グリムトに3-2で勝利したが、この成績が続くようだとマンUの監督ではいられないだろう。アモリムにとって大事なのは、これからの数試合で未来への可能性を示すことになる。 一昨年にリーグカップ、昨季はFAカップを制したように、チームに高いポテンシャルがあるのは間違いない。アレハンドロ・ガルナチョ、アマド・ディアロ、コビー・メイヌーなど若くて豊かな才能を持つ選手たちがいる。コンディション万全なら“違い”をみせることができるメイソン・マウントもいる。同じポルトガル国籍のディオゴ・ダロト、ブルーノ・フェルナンデスの存在もアモリムの考えを浸透させるうえで助けになると考えられる。 マンUはこれまで[4-2-3-1][4-4-2]で戦ってきたが、アモリム就任後の試合は[3-4-2-1]で戦っている。いろいろな選手を起用しており、最終ラインならマタイス・デ・リフト、リサンドロ・マルティネス、ヌサイル・マズラウィ、ハリー・マグワイアに加えて、どちらも負傷明けのタイレル・マラシア、レニー・ヨロもピッチに立たせている。 中盤、前線の選手層もマンUは分厚い。試合数をこなすうちにアモリムがどんな最適解、組合せを見出すか。まもなく冬の移籍市場もオープンとなる。マグワイアやマーカス・ラッシュフォードは売却候補になっているとの報道もある。シーズンが終わるころ、アモリムが率いるマンUはどんな姿をしているのか……。 そういった意味で、13節エヴァートン戦では良いところばかりが出た。右サイドのワイドなポジションに起用されたディアロが攻守に活躍し、3ゴールに絡んだ。守備におけるプレスの強度、ボールを前に運ぶ勢い、ラストパスの精度、どれも質が高く、ディアロがボールを持ったときのまわりの反応も早かった。 41分の2点目はディアロが右サイドでボールを奪ったところから生まれたが、得点したジョシュア・ザークツィーに加えて、ラッシュフォード、B・フェルナンデス、さらには起点となったディアロもPA付近にいた。チャンスだと判断したときは、人数をかけて一気呵成に攻める。今後のマンUはこうしたシーンが増えると予想できる。 いまは中位にいるが、上との勝点差は小さい。アモリムに率いられたマンUがどこまで順位を上げてくるか。良い方向へチームが変化したなら、4位以内に食い込む戦力を揃えているのは間違いない。 文/飯塚 健司 ※ザ・ワールド2025年1月号、12月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部