《中学受験後遺症》放課後は深夜まで塾、自宅学習、お風呂反省会、「もう起き上がれない…」中学入学後にうつ病発症、壊れた息子の心はもどらず家庭崩壊
長男がうつ病発症、次は次男がターゲットに…
「頭痛持ちの家系だったので、最初は『よくある偏頭痛かな?』と思い、市販の鎮痛薬を飲ませていました。でも、徐々に頭痛の頻度が増えて薬の量も増えていきました」 美希さんは、薬の量を減らすために食事や睡眠時間の見直しなど、ハヤトくんの日常生活により気を使うようになった。一方、夫はそんなことには関心を示さず、ハヤトくんにさらにプレッシャーをかけるようになった。 「受験が終わって、ようやく勉強から解放されると思っていたら、夫は『高校で巻き返そう』『高校受験でリベンジすればいい』と息子に言ったんです」 頭痛を抱えながらも、どんなに理不尽な父親の要求にも反抗することなく、応えてきたハヤトくん。しかしある日突然、ベッドから起きられなくなる。 「朝、何時になっても起きてこない息子を起こしに行ったら『起きられない…』と。無言でベッドに横たわっていました。息子はその日から、朝になると体が動かなくなり学校に行けなくなりました。そのまま寝たきりの日が続き、自宅の外にも出られなくなったんです」 美希さんがハヤトくんを病院に連れて行くと、『うつ病』と診断。医師からは、中学受験の頃からの父親との関係性が、ハヤトくんの心に深い傷を負わせていると言われた。そこからハヤトくんは学校を休み、うつ病の療養期間に入った。 「ハヤトの心は一度壊れてしまいました。うつ病は簡単に治ることがない病気なので、一度壊れてしまった心を取り戻すことは難しいんです。なんとしてでも、夫からハヤトを守るべきだった。悔やんでも悔やみきれません」 現在、美希さんは夫と離婚して女手一つでハヤトくんと次男を育てている。 「ハヤトが家から出られない状態になったとき、夫は次男に『いい中学・高校に入らないと人生棒にふるぞ』と言ったんです。ハヤトに見切りをつけた夫のターゲットが、次男になったとゾッとしました。それまで夫の言うことが絶対で恐れながら従ってきましたが、そこでようやく『子どもたちを守るのは私だ』と目が覚め、離婚を決意しました」 現在は穏やかな生活を送り、ハヤトくんの症状も少しずつ改善している。一度壊れた心は元には戻らないが、症状は回復に向かっている。12歳での大きな挑戦だからこそ、背負うものもまた大きいことを忘れてはいけない。 取材・文/大夏えい
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