お菓子好きが集う隠れ家パティスリー「équ(エキュ)」(大阪・堺筋本町)。世界で活躍した中村忠史が伝えたい“お菓子の本質”とは?
店の至るところに「こだわり」が。一つひとつのストーリーに耳を傾けよう
話を聞いていると「このお菓子はこうしたい」「こう味わってほしい」という、明確な意図を感じられるものばかり。他にも、カヌレの生地に混ぜるバニラビーンズはタヒチ産の最高品質のものを使うなど、素材にも妥協はありません。またお菓子を作る工程ひとつひとつ、真正面から向き合います。フィナンシェに混ぜるバターの焦がし具合、メレンゲの泡立て方、素材の香り、材料を合わせるタイミング。効率のために「~しながら」作業を同時に行うことはないのだとか。「お菓子の本質って『美味しい』がすべて。本当はこうしたらもっと美味しくなるのに…と思ってても利益とか手間とかを考えてやらないとか、そんなことは絶対にできない。でも商売として考えたら、そうなるのも仕方ないことかもしれないから、悪いとは思っていません。『手軽な値段でそれなりに美味しい』が求められるのも理解できます。でも自分の想いには反する」「équ」には、パティシエとして約30年で感じたお菓子の「美味しい」と思うもの、他にも「良い」と思ったものが詰め込まれています。例えば、床の材質。デンマークの家具デザイナー、ヨハネス・アンダーセンのアンティークチェア。テーブル、壁、ディスプレイ、ショッパー…どこを切り取っても中村さんは「ストーリー」を語れます。厨房の奥の休憩スペースで寛ぐ中村シェフこれまでは百貨店の催事にも参画していた中村さんですが、今後は「équ」の運営と異業種コラボの仕事に絞っていく方針だそう。例えば京都の建築事務所「吉原組」のプロジェクト「TOHU(トーフ)」では、建築の基礎「BASE(ベース)」と構造を組み上げる「ASSE(アッセ)」、屋根「ROOF(ルーフ)」の3つの建築工程をテーマにしたタブレットを開発。「洋菓子や飲食の業界ではなかなか考えつかない仕事で、楽しそうだなって思ったんです。こんな世界もあるんだなって。自分が『面白いな』と思う仕事のみに集中するつもりです。慣れている仕事じゃなくて、経験したことのない領域で、自分を高めていきたい」焼き菓子のテイクアウトのみでスタートした「équ」、現在はアシェットデセールを提供する予約制サロンも始まっています。約20年勤めた「ジョエル・ロブション」での経験が発揮される中村さんのサロンにも、ぜひ足を運んでみてください。 About Shop équ(エキュ) 大阪府大阪市中央区南久宝寺町1-6-6 CONCOM南久宝寺 4F 営業時間:11:00~15:00 定休日:月曜、火曜、水曜
ウフ。編集部 あかざしょうこ
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