【天皇賞・秋】武豊騎手ドウデュース雪辱V 相棒ラストイヤーに信じてつかんだ秋の盾「すごく強い馬…めちゃくちゃうれしい」
2番人気のドウデュースが後方追走から直線で大外を一気に伸び、GⅠ4勝目を飾った。武豊騎手(55)=栗・フリー=は、保田隆芳元騎手と並ぶ史上最多の天皇賞・秋7勝目。年内での引退、種牡馬入りが決定しており、次走はジャパンC(11月24日、東京、GⅠ、芝2400メートル)に向かう。1番人気のリバティアイランドは好位追走から失速して13着だった。 ◇ 不退転の覚悟が、異次元の末脚を生み出した。ドウデュースが不本意な結果に終わった春2戦の屈辱を晴らし、4年連続のGⅠタイトルを獲得。史上最多タイとなる秋の盾7勝目、そして史上最年長(55歳7カ月13日)の天皇賞制覇となった武豊騎手は、何度もガッツポースを繰り返した。 「ある程度腹をくくって、これしかないとラストの脚にかけるレースをしました。すごく強い馬で、ただ、いつも結果を出せる馬ではなく、僕もうまくエスコートできないレースがあった。きょうは絶対、結果を出さないといけないという強い気持ちで臨みました。本当にうれしい。めちゃくちゃうれしい」 スタート直後から後方で折り合いに専念。1000メートル通過59秒9のスローペースにも微動だにせず、相棒を信じた鞍上のゴーサインを受け、4コーナー14番手からこともなげに突き抜けた。レジェンドが「倍速で走っている感じ」と驚嘆した末脚は、上がり3ハロン32秒5。正確な記録が残る1986年以降ではGⅠ勝ち馬史上最速となるスーパーフィニッシュだ。 昨年はレース当日に5Rの騎乗馬に右足を蹴られて負傷し、乗り替わるアクシデント。「きょうは朝から気をつけていました(笑)」と無事に迎えた檜舞台で結果を出し、「2歳のうちからトップレベルのGⅠを毎年勝っている。馬の強さもさることながらスタッフがさすがだなと思う」と陣営をたたえた。 友道調教師は「勝ったことのない2000メートルでGⅠが取れたことはすごく大きい。次はジャパンCを目指したい」と予定通りに王道を歩むことを明言。今年のジャパンCにはディープインパクト産駒でGⅠ6勝のオーギュストロダン、今年の〝キングジョージ〟勝ち馬ゴリアットなどの強豪が来日を予定している。 「オーギュストロダンは、アイルランドで見てきたけど素晴らしい馬で実績もすごい。お互いに力を出し切って、いいレースができれば」