【凱旋門賞】日本のホースマンに希望の明かりを灯した1999年エルコンドルパサーの〝挑戦〟
今週末、フランスのパリロンシャン競馬場でGⅠ凱旋門賞(芝2400メートル)が行われる。日本からはシンエンペラー(牡3・矢作)が挑むこの大一番には、武豊騎手(55=栗東・フリー)も参戦。アイルランド、J・オブライエン厩舎の有力馬アルリファー(牡4)の手綱を取る。 昭和でいう40年代にスピードシンボリやメジロムサシが挑戦した頃は、まだまだ日本馬とヨーロッパ勢の力差があったか、全く競馬をさせてもらえなかったようだが、そんな高き頂に初めて手をかけたかと思えたのが、1999年のエルコンドルパサーだった。 1998年にNHKマイルC、ジャパンCとGⅠを2勝した同馬を、管理する二ノ宮敬宇調教師(引退)は、翌99年、フランスへ連れて行く。凱旋門賞の約半年前にはかの地に入り、レースを使いながら本番に挑ませた。結果、GⅠサンクルー大賞典と前哨戦のGⅡフォワ賞を制すと、凱旋門賞でもモンジューの2着に善戦。日本のホースマンに希望の明かりをともす結果は、その後に続く日本馬の挑戦を後押しする形になった。 「惜しかっただけに悔しいです」 当時、そう語ったのはエルコンドルパサーに騎乗した蛯名正義騎手(現調教師)。2010年にはナカヤマフェスタを駆って再び2着した名手だが、残念ながら凱旋門賞を勝つことはできずにムチを置き、調教師に転身した。騎手で果たせなかった夢を調教師として成し遂げる日を見てみたい。そしてその時、鞍上に同期の武豊騎手がいればどんなに素晴らしいことか…。そう思うのは私だけではないだろう。(平松さとし)
東スポ競馬編集部