究極のジョッキー対談が実現！　本紙専属競馬評論家の元天才ジョッキー・田原成貴氏（６５）と昭和・平成の競馬界で輝きを放った元騎手・小島太氏（７７）がこのほど四半世紀ぶりに再会した。２人の天才は、かつてしのぎを削った古き良き時代の思い出話に花を咲かせ、今週末の「天皇賞・秋」にも言及。出馬表を見た両者は「もし自分が騎乗したら…」との想像を膨らませた“仮想レース”を展開した。 【写真】天皇賞・秋を制したサクラチトセオー（９５年）

太さんは、すごく近代的な乗り方だった

再会を喜ぶ小島太氏（左）と田原成貴氏

　小島　おぅ！　何十年ぶりかな。オレが生きている間に成貴に会えて良かったよ。 　田原　いやぁ、うれしいですよ。ずっと会いたかったので。太さんはボクの憧れの人ですから。 　――初めて会った時を覚えていますか 　小島　１００％覚えているよ。オレが栗東へ出張した時、成貴が馬からポンって下りてきた。その下り方がちょっと生意気でね（笑い）。 　田原　ハハハハ。 　小島　オレは小生意気なヤツが好き。だからすぐに活躍すると思った。最初から光っていた。大胆で思い切りがすごい。だけど緻密なんだ。 　田原　太さんもカッコ良かったなぁ。すごく近代的な乗り方だった。太さんが馬に乗ると、ステージ上でピンスポットが当たっている感じ。パーッて光っていた。 　小島　成貴にそんなこと言われるなんてね。でも、オレはセンスがなくて不器用。岡部（幸雄）さんを見ながら「ああなりたい」ってよだれが出たよ。最後まで騎手をやれたのは少しでも「形」を良く見せようっていう意識があったからだね。 　田原　柔道でも剣道でも日本人の体に合った「形」から入るのが一番近道なんですよね。まず野平祐二さんがやって、それに憧れて太さんがやって、太さんに憧れて俺や河内（洋）さんがやり、（武）豊くんやノリちゃん（横山典弘）に引き継がれていった。 　小島　初めて聞いたよ。とんでもなくうれしいね。今のように映像もない時代。木馬もない。だから調教が終わって自分のスタイルの影を見たり、雑誌で有名な海外ジョッキーの写真を切り抜いてマネしていたね。 　田原　だから物理的にも太さんの乗り方は絶対に合っています。ただ、それだけじゃ馬は動かない。それにプラスして…。 　小島　気持ちだよね。馬に伝えるんだよ、頼むって。踏ん張れって。 　田原　そう、技術があった上で最後は馬の魂を鼓舞する気持ち。２つ揃わないとダメですよね。