W杯、白熱の得点王争いの行方
ワールドカップ・ブラジル大会はグループリーグの第2節までを終えて、オランダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、アルゼンチン、ベルギーの6か国が決勝トーナメント進出を決めた。開幕戦から異例とも言えるハイペースを量産されてきたゴール数は、第2節に入って若干落ち着いてはきたものの、それでも1試合平均で2.94をマーク。平均が2点台に収まった1962年のチリ大会以降では、1970年のメキシコ大会の2.96に次ぐ高い数字を刻んでいる。
必然的に得点王争いも白熱化していて、23日現在で、ロビン・ファン・ペルシーとアリエン・ロッベンのオランダコンビ、連勝発進と好調のフランスをけん引するカリム・ベンゼマ、エクアドルの伏兵エネル・バレンシア、そしてポルトガルとのグループリーグ初戦で今大会初のハットトリックを達成したドイツのトーマス・ミュラーと5人のFWが3ゴールでトップに並んでいる。 では、優勝争いに次ぐ醍醐味と言える得点王を獲得するのは誰になるのか。元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は「ドイツの得点を取る能力、勝ち進んでいけるチーム力を考えれば、ミュラーとなる可能性は高いと思う」と前回南アフリカ大会でも得点王に輝いた24歳を候補に挙げる。 「前線におけるユーティリティープレーヤーとして、相手のゴール前で張っているだけではなくサイドにも流れてチャンスをうかがうタイプだけれども、特筆すべきなのはゴール前のこぼれ球を狙うセンスに長けていること。ハットトリックのうち、2点はポジショニングのよさから生まれたと言ってもいい。周囲に華麗な選手たちがいる分だけ、ある意味でゴール前において恩恵を授かることのできる選手。西ドイツ時代の名ストライカーである、ゲルト・ミュラーを彷彿とさせる泥臭さがある。20歳で出場した前回大会以降の4年間で、所属するバイエルン・ミュンヘンでともにプレーしてきた、スーパースターと呼ばれる選手たちからさまざまな影響を受けながら成長できたことも非常に大きいと思う」。