優勝へ試練の12連戦を連敗スタートとなった阪神の死角
阪神の試練の12連戦は連敗スタートとなってしまった。 満員の横浜スタジアムで19日にデイゲームで行われた対横浜DeNA戦。鳥谷の先頭打者本塁打で先制、追いつかれても、すぐにマートン、ゴメスのタイムリーでリードを奪った。だが、3回一死一、二塁から先発の能見が、筒香に逆転の20号3ランを浴び、4回にも二死二塁から荒波にレフト越えにタイムリースリーベースを打たれて点差を広げられ、結局阪神は、ゴメスの本塁打などで2点を返すのが精一杯だった。 試合後、和田監督は、能見がインサイドをストレートで攻めながらも筒香にホームランを許した場面に触れて、「コースは甘くなかったが、あそこまで弾かれるのは、キレがなかったのかな」と答え、続く記者の質問に対しても「落としていいゲームはない。いかなくちゃいけない時期。もう(ピッチャーが)最後足りなくなるくらいの継投をしているわけだからね。どこかで、そういうイニング(中継ぎがゼロで踏ん張る)を作って、攻撃につなげていかないと。1点、1点を返しながら、なんとかとしたいと選手が懸命にやってくれている。ただ、昨日今日は、かみ合わなかった」と、非常に誠実にコメントを搾り出した。 阪神の死角はふたつあった。 ひとつ目は、4回裏の守りである。一死から嶺井を歩かせて、井納にバントで送られた場面。井納は決して器用とは言えず、この打席でも、途中バントを試みて出来ずにファウルにしている。ここはバッテリーが戦略的に攻めて、バントを失敗させることが可能だったと思う。結局二塁に送られ、荒波の当たりは、背走したマートンの差し出すグラブの上を抜く、タイムリースリーベースとなったが、このときのマートンの守備位置にも問題があった。荒波のデータを基に、1点もやらない守備体勢だったのはわかるが、あと一歩、定位置に近いポジションならば抜かれていなかっただろう。 ふたつ目は、2点を追う5回の攻撃だ。マートン、福留の連続ヒットで、無死一、三塁として、元来、出来のよくなかった井納がいよいよ浮き足だった。ゴメスの犠飛で1点を返すと、横浜DeNAの守りにもミスが出て、一死二塁とチャンスが続き、運よく井納も続投となった。 だが今成は、ボールカウント3-0から高めのストレートを打って出て、ポーンと内野フライを打ち上げてしまったのだ。選手を信頼して、すべてを任せるというベンチの考え方も理解はできる。だが、今成は変化球への対応力もあるバッターである。「1球待て!」のサインが、ベンチから出ても良かったのではないか。結局、続く伊藤隼が四球で歩いたが、鶴岡に代わった代打・新井良も凡退。絶好の同点機を逃した。終わって見れば勝敗を分けるハイライトだった。