優勝へ試練の12連戦を連敗スタートとなった阪神の死角
選手への信頼とベンチワークのバランスは紙一重である。 巨人も、打順をコロコロと変え、主軸にも平気でバントをさせてきた原監督の采配に対して勝てないときは、選手側から不協和音が聞こえてきたことがある。どこまで動かすのか、どこまで信頼して任せるのか、の匙加減は確かに難しい。 試合後、バスに向かう和田監督を直撃すると、「ゲームが壊れているわけじゃない。一人ひとりが、自分たちの仕事をできるかどうか。打席、打席で、その仕事も変わってくる。確かに、ちょっと、その部分は足りていないが、ここまできて選手を信頼しなければどうするんだ」という返事が返ってきた。12連戦は、連敗スタートとなり、首位のヤクルトが巨人に勝ったため、ゲーム差は2に広がったが、「もう一度、甲子園からだ。まだまだこれから。勝負は何も終わっていない」と、和田監督は気合を入れ直した。 我慢、辛抱と、ずっと言い続けてきたペナントレースの佳境で、和田監督が「選手を信頼する」と、声を大にした意義は決して小さくないだろう。 前日は、鶴岡のパスボールというひとつのミスが命取りになり、この日もいくつかのポイントで勝負は裏目に出た。横浜DeNAの野球と付き合ってしまったのも、阪神というチームが持つ弱さなのかもしれないが、ここからが本当の勝負。 明日、20日には、首位のヤクルトを甲子園に迎え撃つ。阪神は岩田、ヤクルトは故障で2軍調整をしていた山中が、8月18日の横浜DeNA戦以来の復帰登板。阪神が、今季0勝2敗、防御率0.69と苦手にしているサブマリンである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)