「子どもにお任せ」で教師は時短でよい授業ができる!
~今月のテーマ~
仕事の効率を加速させる学級経営術
心得1
子どもたちと一緒に授業をつくる
苦手な授業にどう立ち向かう?
僕は、家庭科の裁縫が苦手です。というか図工も苦手です。あ、漢字を覚えるのも得意ではありません……。 こうして苦手なことを挙げていくと数え切れません。でも、どんな先生にだって苦手なことはあると思います。基本的に小学校は教科担任制ではありません。ですから多くの場合、得意・不得意に関わらず、担任がすべての教科を教えることになります。 苦手な授業の準備はいつも以上に時間がかかります。たった1時間ほどの放課後に、そんなことを始めたら到底定時では帰れません。持ち帰ってやれば、それはもう残業と同じ。そこで思いついたのが、子どもたちと一緒にやればいいじゃないかという考えです。
子どもの“できる”を見極め、任せる
初めて6年生を担任したときの話です。家庭科でミシンを使う単元がありました。僕は事前に得意な子や手伝ってくれそうな子に声をかけました。 「〇〇さん、ミシンよく使うって言ってたよね? 実は先生ちょっと苦手だから、授業に入るまでに教えてくれない?」 こうして、4人の“ミシンの使い方を先生に教え隊”が集まりました。子どもたちには、あらかじめ授業で使う教材を配布し、休み時間につくってもらいました。僕は分からないことを質問し、ポイントとなるところをメモしました。そして使い方を解説してもらい、動画に収めておきました。 「みんなありがとう! おかげでミシンの使い方がよくわかったよ」「みんなには授業のときにも先生役で各班にいってもらっていいかな?」 そんなやりとりをしながら、実際の授業でもその4人が先生役として大活躍してくれました。授業がスムーズに進んだだけでなく、先生役の子どもたちはどこか自信に溢れたような笑顔をしていたことを覚えています。 そのほかにも、図工が得意な子と事前に作品をつくったり、タブレットの操作に自信がある子と新しいアプリをお試しで使ってみたりもしました。その中で、みんながどこで困りそうかなどを一緒に考えました。 教師のあるべき姿は、子どもたちのために惜しみなくただ時間をつぎ込むことではなく、その子ができそうなことを見極める力、そして任せる勇気をもつことだと僕は考えています。 結果的に、授業準備の時間が短縮され、子どもたちも成長してくれるならば、こんなに嬉しいことはありません。