「子どもにお任せ」で教師は時短でよい授業ができる!
心得2
“会社活動”に昇華させ、自主性を育む
会社活動へと形を変え、新たな学びの場へ
ある日、子どもたちに授業で使う動画の作成をお願いしました。その子どもたちから「次の授業でもこの前みたいな動画をつくりたい!」と申し出がありました。 ほかにも「自主学習のコメント書きを私もやりたいです!」といったように、自主的な意見が多くみられるようになりました。 普段からいろいろなことを任せることで、子どもたちは自ら「〇〇をやってみたい!」と声に発するようになったのです。 ただし、子どもたちに何かを任せるときに、周りから「また〇〇さんだけ先生と何かやっている」とマイナスな捉え方をされないようにする配慮が必要です。そこで、これらを“会社活動”として取り組むことにしました。 会社活動は、全員が絶対にやらなければいけないという決まりはありません。ただし「クラスのために活動する会社であること」という条件をつけ、「つくりたい会社があれば先生に相談する」というルールを設けました。すると、瞬く間に以下のような会社が立ち上がりました。 〇動画会社 〇ポスター会社 〇自主学習推進会社 〇算数掲示会社 〇タブレット推進会社 〇漢字推進会社 子どもたちは、それぞれで企画を考え実行します。あるときには「朝学習の時間にタイピング大会を開きたい」という提案がありました。実際に大会が開かれ、表彰式まで自分たちで行っていました。 教師から会社に「次の授業で〇〇をやりたいから事前に手伝ってほしい」と依頼することも可能です。3学期にはマネー制度が導入され、依頼した分のマネーが支払われるというルールになりました。マネーの使い道は、 “授業時間の買い取り”。買い取った会社が企画した遊びを実施できるというものです。これもすべて子どもたちが考えたことです。 会社活動に入っていない子には「教室を綺麗にするクリーン会社なんかあったらいいなぁ」とそれとなく提案したところ、「それなら私やってみようかな!」と会社が設立されたこともありました。ですが、あくまでも子どもたちの自主的な「やりたい」が重要なので、強制はしません。 また、このような活動は、毎年行っている訳ではありません。子どもたちの実態や学年によっても形は変わります。しかしながら「教師がすべてやってあげる」のではなく「子どもたちと一緒にやる」、そして「子どもたちに任せる」という気持ちを持っておくことが大切だと考えています。 そうすることで、教師の余裕が生まれ、子どもたちの自主性が育まれます。皆さんも教師になったら、できそうなところからぜひやってみてください。 こう 5時に起きて5時に帰る小学校教師。著書に、 Amazon1位(教師向け書籍)にもなった『あなたのiPadを200%活用する教師の仕事術!』(東洋館出版社)、『あなたのiPadを200%活用する教師の授業術!』(東洋館出版社)『結局、定時退勤が子どもたちのためになる』(明治図書)がある。定時で帰る働き方を発信するブログ「もう5時っすよ。」を運営。X、 Instagramでも教師の働き方やiPad活用などについて発信中。 *『月刊教員養成セミナー2024年12月号』 「定時に帰る教師になるための心得」より こう先生による、定時に帰る教師になるための心得をご紹介。定時に帰り、心に余裕をもちながら子どもに接することができる教師になるべく、毎月学んでいきましょう!