暴落からの反発率2倍、日本の新興株にマネー流入-円高で内需再評価
(ブルームバーグ): 歴史的な暴落相場から立ち直る局面で、日本の新興市場銘柄に国内外の投資マネーが流入している。内需への依存企業が多く、為替市場の円高進行の影響を受けにくいとの評価が高まっているためだ。
東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)は、日本株相場が8月初めに1987年以来最悪の下落率を記録してから30%以上上昇した。反発率は、円高で業績へのマイナス効果が警戒されやすい時価総額上位の自動車や電機株などを含む東証株価指数(TOPIX)の15%に対し2倍を超す。
ブルームバーグの集計によると、グロース250を構成する企業の売上高の90%以上は日本国内だ。半面、TOPIXの国内売上高比率は39%で、足元の市場で投資家が内需依存企業の多さを好感していることが分かる。日本取引所グループが発表する投資部門別売買状況では、海外投資家は8月に東証グロース銘柄を9カ月ぶりに買い越し、買越額は136億円となっていた。
英エディンバラに拠点を置くベイリー・ギフォードの日本株担当者、ドナルド・ファーカソン氏は「市場の関心が入れ替わる時期に差しかかっているのかもしれない」と指摘。株価が過小評価されているソフトウエアなどデジタル分野に投資チャンスがあるとの見方を示す。
日本株投資に約35年のキャリアを持つファーカソン氏は、eコマース(電子商取引)の決済やクラウドソフトウエアの導入で日本は他の市場よりも遅れていたが、「この分野でいくつかの重要な勝者を生み出し始めている」と言う。同氏は現在、デジタル分野ではマネーフォワードに投資していると明らかにした。
アナリストらも、日本の新興企業のファンダメンタルズに対し楽観的だ。グロース250銘柄の1株当たり利益予想(EPS、加重平均)は5.2円と2017年6月以来、およそ7年ぶりの高水準に達する見通し。一方、日経平均株価銘柄のEPSは7-9月期に2四半期ぶりの水準が予想されている。