66歳の現役パンクロッカー、the原爆オナニーズ・TAYLOWが語る「肉体と精神の変化」。そしてバンドの終わり方
the原爆オナニーズのTAYLOW#4
元「smart」編集長・佐藤誠二朗によるカルチャー・ノンフィクション連載「Don't trust under 50」。 【写真】全身全霊で叫び続ける66歳 the原爆オナニーズのTAYLOWのストーリーもいよいよ最終回。現在、66歳。ステージに立ち、激しく叫ぶ姿は変わらないものの、当然、年齢は重ねている。盟友たちへの想いも含め、TAYLOWが考えている今と未来について。(全4回の4回目)
理想とする“100点満点”のライブとはどんなライブなのか
the原爆オナニーズ結成から42年。前身であるニューロン時代から数えると43年。TAYLOWは休まずにバンド活動を続けてきた。ライブでは今も、20代だった1980年代と変わらぬように見える、激しいステージングを貫く。 だが還暦をとうに過ぎ、いやな言い方かもしれないが、現在の日本という国のシステムでは“高齢者”に区分される年齢に達している。 TAYLOWは肉体や精神の変化は感じていないのか。そしてthe原爆オナニーズに終わりはないのだろうか。 「肉体とか精神の変化? そりゃ感じてます。感じないって言ったら、絶対うそです。メンバーもそうだし、同世代でバンドをやってる人たちもみんな、それは感じてると思う。最近は、『考えているほどのことができない』って思うことが多いんです。 でもそれは多分、自分の中でハードルが上がっているということの方が大きいんですよね」 加齢による変化は感じるが、それは衰えというよりも心の持ちようの違いであるとTAYLOWは言う。昔と比べて満足のいくライブがなかなかできないのは、自分の中で定める“理想のステージ”のレベルが上がっているから。それをTAYLOWは、ハードルという言葉で表現した。 「今から思えば、20代はこのぐらい(胸の上)が100点だった。でも今は、100点がこのぐらい(額くらいのところ)まで上がっちゃってる。 そんで若い頃は、70点くらいのライブしかできなかった日も、強がって『100点だったよ』って言ってたけど、今は90点のライブだったら、『90点だったな』って素直に言える。周りもみんな、そうだと思いますよ。 すべての同年代のバンドは、20代の頃に考えていた100点のステージができていても、今はなかなか満足できないんじゃないかな。スタークラブを見てても、ラフィンを見ててもそう思うもん」