/29 第76回大会(2004年) ダルビッシュ無安打無得点
2004(平成16)年の第76回大会では、東北(宮城)のダルビッシュ有投手(米大リーグ・カブス)が1回戦の熊本工戦で無安打無得点試合(ノーヒット・ノーラン)を達成した。センバツでは、1994(平成6)年の第66回大会で金沢(石川)の中野真博投手が江の川(現石見智翠館=島根)戦で達成して以来、10年ぶり12人目。甲子園では夏も含めて、ダルビッシュ投手以降、無安打無得点試合は生まれていない。 194センチの長身右腕は、最速147キロの直球と切れ味鋭いスライダーで打者をなで斬りにした。三、四回の6者連続を含め、計12奪三振。2三振を喫した熊本工の4番・木村拓内野手は「スライダーは真っすぐかと思うほど速く、ボールゾーンに急に逃げる。腕の振りも速球と変わらない」と話した。 許した走者は、失策と2四球による3人だけ。九回も淡々と投げ続け、記録の重圧を感じさせなかったダルビッシュ投手は試合後も「ただ打たれなかっただけ」と冷静に振り返った。 高校時代、春夏の甲子園に4回出場したダルビッシュ投手。高校2年の03(平成15)年春は初戦の2回戦で1失点完投を果たすも、3回戦で花咲徳栄(とくはる)(埼玉)に6回9失点で敗退。同年夏は決勝まで進んだが、常総学院(茨城)に屈した。 主将となった高校3年の04年春は快投で滑り出し、2回戦でも優勝候補の大阪桐蔭相手に6回2失点で勝利に貢献。しかし、右肩に張りがあったため、準々決勝の済美(愛媛)戦には登板せず、チームも敗れた。最後の夏は1、2回戦で連続完封した後、3回戦で千葉経大付に延長戦の末に惜敗した。=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 東北 020000000=2 熊本工 000000000=0