空中で操る「肥後ちょんかけごま」世界を席巻…保存会会員がコンテスト優勝、新技を生み出しつつ伝統守る
競技は音楽に合わせて3分間、こまを回すパフォーマンスを競う。老若男女を問わず、世界各国から様々な達人が参加するなか、保存会の会員は23年に優勝、24年は上位に入るなど、世界を席巻している。
若い人も入会するようになった。こまを空中に投げ、カウボーイのようにひもをしならせてキャッチする「ウィップ」といった新技も生まれた。
保存会の塔ノ上成会長(74)は「ちょんかけは、こま同士をぶつけない平和なこま。見る人も回す人も笑顔になれる。若い人の発想も得て、こま回しの技術を熊本の文化として残したい」と話している。
作り手育成に工芸教室
伝統を守るには作り手も必要だ。肥後こま職人の竹原栄太郎さん(75)は、市くまもと工芸会館で月2回、後継者育成のための工芸教室を開き、毎年2月には小学生にも教えている。自身も働きながら工芸教室で5年間学び、技術を継承した。「こま作りで大事なのはこまがよく回る芯をとること。技術を次の世代に受け継いでいきたい」と語る。
工芸会館では、肥後象がんや竹工芸などの分野でも、それぞれの職人が後継者を育成している。宅野雄二朗館長は「一度失われると再現できなくなる。手作りのぬくもり、個性、人の思いが詰まった工芸品を技術とともにつなげたい」と話した。(石原圭介)