「新宿東口の猫」のイメージモデルに選ばれた三毛猫・ナツコ「根拠のない自信」が採用の決め手に飼い主も思わず納得
小さい頃から我が道を行く猫だった
そんなナツコとの出会いと「新宿東口の猫」のイメージモデルとして採用されたことを佐竹さんはこう語る。 ナツコとの出会いは29年前。小さい頃からナツコらしさ全開の猫だったようだ。 「春先に家族が釣り堀から連れ帰ったキジトラの子猫『モモ』が、避妊手術をする前の初夏に産んだ子猫たちの1匹でした。きょうだいの個性はそれぞれでしたが、ナツコはヤワではない母親の気質を受け継ぎ、小さい頃からつるむのが大嫌いな、我が道を行く猫でした」 飼い主として「新宿東口の猫」を見た佐竹さんは、イメージモデルに選ばれたことが「奇跡のよう」と話す。 「国も性別も年代も超え、見上げる人々の目尻を下げさせる『猫』ってすごいなぁと感嘆しました。東口の猫は“マイペースで意味不明に強気”だから、“元気出せよ”と萎縮した人間社会にはっぱをかけているようです。そのイメージモデルに市井のナツコがなったことは、奇跡のようにもぴったりのようにも思えました」 著書『猫は奇跡』は、17つの猫にまつわる実話が収められている。「前を向いて生きる猫たちの姿だけでなく、それを支えた人々の思いも書きたい」という思いで始まった。 長年の取材経験から、タイトルは特別な猫が起こす奇跡ではなく、「どの猫も小さな体で強い意志や復活力、思いやり、喜び、悲しみを秘めて生きていること。寄り添う人を選ぶ目の確かさや、人と人を結びつける力、人生を一変させる力も持っている」ことから、『猫は奇跡』となったと話した。 佐竹茉莉子 フリーランスのライター。フェリシモ「猫部」のWEBサイト創設時からのブログ『道ばた猫日記』は連載15年目。朝日新聞系ペット情報サイトsippoの連載『猫のいる風景』はYahooニュースなどでも度々取り上げられ、反響を呼ぶ。
佐竹茉莉子