企業価値担保権で創造される「企業と金融機関の共通価値」~金融庁 和田良隆・信用制度企画室長インタビュー ~
―企業価値担保権を実行する際、管財人が経営しながらスポンサーへ事業譲渡を行うとされている。管財人のスキルが求められそうだ
公正な司法手続きのなかで、管財人が選任され、事業価値の維持のために商取引債権や労働債権などの支払いは継続される。管財人は更生に知見がある弁護士がふさわしいとの意見もあり、法曹界で検討いただけると思う。
―企業に向けてメッセージを
金融機関には、ビジネスマッチングやコンサルティング、地域や業界特性への理解など、知見が蓄積されている。こうした金融機関の持つポテンシャルを積極的に活用して事業拡大や経営改善、事業転換に活用いただくこともご検討いただきたい。 金融監督当局として、金融機関には企業に伴走して欲しい、寄り添って欲しいとシグナルを出し続けているので、金融機関のマインドもだいぶ変わってきている。事業者の皆様には、金融機関が提供できるものを見定めてもらって、これまでの融資よりも少しコストが掛かるかもしれないが、納得の上で企業価値担保権とそれに付随するであろう金融機関による経営改善支援を活用するのも経営の選択肢の1つだ。何が提供できるかについては、金融機関が不断に努力をしており、ノウハウや技術を高めているはずだ。 海外展開へのニーズには、そういうサポートができるようにしていると思うし、再生に向けた取組みが必要なら、REVIC(※7)やファンドも活用しながら、様々な支援を検討できる体制の構築、職員の育成に向けた努力をしていると思う。 積極的に金融機関と少し距離を縮めて付き合っていただくことは、経営にとってプラスになる可能性が多分にあるはずだ。 ※7 地域経済活性化支援機構。地域の中小企業等の事業再生支援等の事業活動を行っている。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年6月10日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)