35歳以下の若手料理人478名の頂点が決定!日本最大級の料理コンペティション 「RED U-35 2024」 緊張の舞台裏を取材
La Credenza (イタリア トリノ) 料理人 加藤 正寛
最後に登場したのが、今回のゴールドエッグ5名中4名が日本料理のところ唯一のイタリア料理、しかも普段は本国イタリアのLa Credenzaで働いており、今回RED U-35のために2週間の休みを取って来日したという加藤正寛。 料理人になる前は食品メーカーの営業職として4年間働いていたといい、料理人となった今でもその4年間も無駄ではなかったという意味を込めた料理名 「人生に無駄はない (じんせいにむだはない)」 を作り上げた。食材については、営業職として務めていた四国の食材を使い、スプーンの上に載せた料理を審査員に同時に口に運んでもらい、口の中を実況しながら料理の説明をするというユニークなスタイルを取った。 こうして5名のゴールドエッグ、ファイナリストたちによる熱気溢れる審査会は終了となった。 料理人コンペティションということで、料理の味はもちろん重要だが、審査員の脇屋友詞がリクエストしていたように、審査室全体を自らのステージとして、客 (審査員) と一体となるような雰囲気づくりも非常に重要であるように見受けられた。また今回審査室での仕上げでは、辻調理師専門学校の学生たちがアシスタントとして起用されていて、彼らへの指示の出し方やふるまいなどにも個性や日頃の仕事ぶりが映し出されているようにも思えた。
イタリア料理から初の“レッドエッグ”が誕生!
最終審査会終了後は、会場を東京・青山のBAROOMに移し受賞セレモニーが行われた。オープニングではフラメンコギターデュオ 徳永兄弟がパフォーマンスを披露し、華やかな雰囲気での幕開けとなり各賞の発表が行われた。 そして今回「RED U-35 2024」 478名の頂点、グランプリである「レッドエッグ」には、加藤正寛(イタリア料理「La Credenza」イタリア)が選ばれた。イタリア料理から「レッドエッグ」が誕生したのは11回目にして初となった。 この結果を受け、審査員長を務めた狐野扶実子は、「最終審査では、皆さん素晴らしい結果を出していただき、なかなか一人に決められないような大変な審査でしたが、加藤さんご自身の “自分らしさ” を遺憾なく発揮してもらえました。」 と講評を述べた。 レッドエッグを受賞した加藤正寛も以下のようなコメントを残した。 「自分の中では最終審査を終えてもまだ課題があり、次に向けて頑張りたいと思っていたところです。レッドエッグを目指していましたが、受賞できたことに驚いています。今回の一番の勝因は、自分だけのオリジナルな経験とストーリーを皆さまに伝えることができたことだと思います。 今回の大会に向けて多くの方々が準備をしてくださり、また審査員の皆さまもご多忙な中、審査をしていただいたことに感謝しています。」 また、準グランプリには、中村侑矢(日本料理 「INA restaurant」 奈良県)が選ばれた。準グランプリ発表に際し、悔しそうな表情を浮かべていた中村だが、「審査を終えてやりきったと感じており、まったく後悔は無いです。今回準グランプリに選んでいただいたことだけで終わらせずに、ここで得た経験を活かして、今後はもっと広い世界で活躍できるような料理人を目指して精進してまいります。」 とコメントを残しつつ、早くも来年への意欲を見せていた。 その他受賞セレモニーでは、RED U-35発起人である故・岸朝子が食生活ジャーナリストとして日本の食の発展に寄与された功績を讃え最上位の女性料理人に贈る「岸朝子賞」に、デザート 「BAMBAKUN」のシェフ 高江洲悠紀が、同じくRED U-35の発起人で株式会社ぐるなび取締役会長・創業者の滝久雄が、料理人としての領域を超えた活躍や、これからの食の発展へ貢献することを期待して贈る「滝久雄賞」が、料理教室「シェフクリエイト横浜スタジオ」の辻岡靖明に贈られた。 ●審査員長総評:狐野扶実子 食プロデューサー・コンサルタント 今回の大会では「自分らしさ」をテーマとしましたが、どれひとつとして同じものはなく、ひとつひとつ本当に尊くて豊かだなと思いながら、審査員一同大変興味深く作品を拝見させていただきました。最終的には一人を選ばないといけないので、「自分らしさ」をどのように料理に反映させたのかをポイントに評価させていただきました。 総じて言えることは、個性的な料理が増えたこと、また皆さんが自由に表現されているなと感じました。今までの環境、生い立ち、経験は大切な「自分らしさ」のひとつですが、それに縛られすぎるのではなく、培ってきたものを土台に、これからの未来に向かって新しい挑戦に怖じけずに、「自分らしさ」にさらなる磨きをかけてほしいと思います。 最後に、総合プロデューサーの小山薫堂から、来年度の「RED U-35 2025」のファイナルが「大阪・関西万博」で開催されること、そして4年連続で審査員長を務める狐野扶実子をはじめ、新たな審査員団も発表された。 来年の万博後、「レッドエッグ」受賞者が世界からどのような注目を浴びるのか、今から楽しみでしかない。 RED U-35 2024 公式サイト:https://www.redu35.jp/
取材・文:カトウワタル(FINDERS編集部)