トランプ2.0「最初の大統領令」は“ホワイトハウス入り前”か…「アメリカ史上例を見ない不法移民の強制送還」非常事態宣言も検討?
「米国史上例を見ない不法移民の強制送還」非常事態宣言も検討か
その最初の職務だが、次期ホワイトハウス副主席補佐官のスティーブン・ミラー氏は「トランプ次期大統領は大統領就任初日(day one)に複数の大統領令を発して国境を閉鎖し、米国史上例を見ない不法移民の強制送還作戦を始めるだろう」と言った。 これは、2024年12月3日のFOXニュースの番組のインタビューに答えたもので「新大統領はすべての合法的、外交的、財政的な手段を使って、不法移民の流入を阻止する」とし「世界が変わるような衝撃をもたらすはずだ」と述べている。(「ザ・デイリーフェッチド」2024年12月4日) まず移民・税関執行局(ICE)などの連邦機関に対して不法移民の摘発を指示する大統領令の署名から始まることになるようだが、これに地方の保安官や警察官も職務質問や逮捕など移民法執行官として活動できるよう職務権限の拡大も発令するだろう。 また地方によっては、行政がICEの摘発を妨害するようなことも予想できるので、その場合は州兵を派遣して支援させることを命令することも計画している。 そうして摘発した不法移民を収容する収容施設も必要になり、すでにテキサス州から提供されたメキシコ国境に近いテキサス州リオグランデ近郊の1400エーカー(約567ヘクタール)、東京ドーム120個分の土地で建設がはじまる。 さらに、強制送還される不法移民を相手国が受け入れるよう求め、協力しない国には米国入国ビザの発給を制限する措置も検討される。 このように不法移民の強制送還手続きは多岐にわたるので、トランプ次期大統領は国家非常事態を宣言して強制送還を迅速化することも考えていると伝えられる。 トランプ新政権で移民問題を取り仕切る「国境皇帝(Border Czar)」に任命される予定のトム・ホーマン氏は、警察官出身で不法移民の国外追放を主張しており、移民を保護する「聖域都市(Sanctuary City)」を敵愾視しているが、その代表的な都市であるイリノイ州シカゴで2024年12月10日、保守系の集まりで次のように演説した。 「我々は(不法移民の摘発を)ここイリノイ州シカゴから始めます。シカゴ市長が協力をしたくないというなら傍に退いていてください。もし不法滞在者を故意に匿ったり、隠したりして我々を妨害するのであれば、市長と言えども訴追します」(「ブライトバート・ニュース」2024年12月11日) トランプ2.0の「就任初日」は、その立ち上がりの速さだけでなく、政策的にも波乱万丈の異例のスタートになりそうだ。 【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】 【表紙デザイン:さいとうひさし】
木村太郎