ダニにはダニを 地元にいる「天敵昆虫」でイチゴ守る実証実験
千葉県成田市川上の農園で、葉の裏などに寄生して植物を枯らすハダニを、天敵である別の種類のダニで駆除してイチゴを育てる実証実験が始まった。天敵のダニは地元などで採取して増やすという全国的に珍しい試みで、減農薬栽培にもなる。体長0・3ミリの小さな虫に大きな期待が寄せられている。 実験は生物農薬関連資材製造会社「bioEgg(ビオエッグ)」(川崎市高津区)が、日本航空の関連会社「JALAgriport(アグリポート)」と共同で実施。同社が機内食などで提供するイチゴを栽培しているビニールハウス(広さ約7000平方メートル)で開始した。 天敵となるのはミヤコカブリダニ。成虫の体長はハダニと同じ約0・3ミリで、ハダニの卵から成虫まで捕食する。実験は、まず11月下旬に一定量のミヤコカブリダニを放した。来年1月にも再度一定量を放す計画で、同5月までにもっとも効果的な量や最適な温度設定などを調査する。 害虫駆除に用いる天敵昆虫は通常、欧州などから輸入されている。しかし、今回の実験は、地元など県内に元々、生息しているミヤコカブリダニを採取し、同じ農園内で養殖して投入するため、実用化できれば農家にとって輸入品や化学農薬に比べて大幅にコストを抑えられる見通しだ。 今回、ビオエッグを経営する法政大大学院生の平山大稀さん(26)が、共通の知人を介してJALアグリポートの花桝健一社長(49)に持ちかけ、実現した。花桝社長は「元々、地域にいる虫を使うやり方は聞いたことがなく、非常にサステナブル(持続可能)だと共感した。地域の生態系に適した天敵昆虫を用いることで、持続可能な農業の実現に貢献したい」としている。平山さんは「天敵昆虫の地産地消を全国に広げていきたい。いずれはアブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの害虫にも対応できるようにしたい」と話している。【合田月美】