エンタープライズAIの未来をオープンにする--レッドハット・三浦社長
2025年に向けたIT企業のトップメッセージを紹介する。 レッドハット 代表取締役社長 三浦美穂氏 現在、世界は地政学リスクや環境問題などの不確実性に直面しており、日本では物価高、人手不足、デジタル化の加速といった課題が企業に影響を与えています。こうした状況において、2025年にはさらに進化した技術と柔軟なビジネス戦略が求められるでしょう。 当社は、これまで培った信頼性、俊敏性、そして高度なセキュリティを基盤に、オープンな技術で構築されたプラットフォームを提供し続け、より一層のイノベーションを追求してまいります。2024年は日本市場での事業開始から25周年を迎えた節目の年でしたが、そのポリシーは現在も一貫しており、オープンソース技術を活用し、企業の成長を支えるプラットフォームとして、皆さまに信頼される存在であり続けることを目指しています。 2025年には、さらなる進化を遂げたプラットフォームを通じて、ビジネスの変革と成長を支援し、皆さまと共に未来を築いていきたいと考えております。 2024年はAI技術の急速な発展と生成系AIツールの普及により、企業のAI活用が加速しました。レッドハットは、この生成AI市場の新しいソリューションとして企業向けに完全なオープンソースライセンスを適用した大規模言語モデル(LLM)「Granite」や企業ユーザーがモデルチューニングしてLLMのトレーニングに貢献するのに役立つツール「InstructLab」などを搭載した「Red Hat Enterprise Linux AI」(RHEL AI)を発表し、国内でも9月に英語版の投入を実現しました。 さらに、11月にはレッドハットのAIテクノロジー ポートフォリオを強化する、Neural Magic買収の正式契約を発表しました。この技術の導入により今後、高度なAI推論技術によってより効率的でスケーラブルなAIサービスの提供をできるようになります。 そして、パートナーとのコラボレーションもさらに重要性を増しています。2024年9月にはDell Technologies、11月にはLenovoでRHEL AIの工場出荷時プリロードを開始し、12月には「AWS Marketplace」でのRed Hatのオープンソースソリューションメニューの拡張も発表されました。これにより、AI活用の選択肢が広がり、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速する支援をさらに強化してまいります。 レッドハットは2025年、AIネイティブに進化するエンタープライズプラットフォームの必要性が広がることを予測しており、そのために“エンタープライズAIアプリケーションの未来につながるデベロッパーエクスペリエンスの向上”に焦点を当て、下記の3領域に注力してまいります。 開発・運用の負担軽減に向けたプラットフォームエンジニアリングの提案を強化 オンプレミス環境でもクラウドの利便性を実現するプラットフォームを提供 オープンソースから得た知見を生かし、組織変革と技術共有を推進 企業のIT現場での開発・運用負荷軽減を目指し、「Red Hat Developer Hub」を活用し、DevSecOps、AIアプリ開発、プラットフォーム運用の標準化を推進します。これにより、開発生産性、運用効率、コスト削減を実現します。オンプレミス環境には、コンテナーと仮想化基盤を一元管理する次世代型プラットフォームを提供し、「OpenShift Virtualization」で仮想化基盤のモダナイズを進め、企業のハイブリッドクラウド化を支援します。さらに、オープンソース技術やアイデアを共有し、最新技術やアジャイル手法で組織文化の変革をサポートします。自動化アセスメントやテクノロジーコンサルティングを通じて、従来型プラットフォームのモダナイズを支援し、「Red Hat Open Innovation Labs」のコンサルタントが組織文化の改革を支援し、知識を広く共有してお客さまやパートナー企業の持続的な成長を促進します。 これらの取り組みにより、企業はAI活用を加速し、業務効率化やイノベーションを促進できます。レッドハットのAIソリューションは、開発者やデータサイエンティストにとって迅速で直感的な導入を支援し、ビジネス成長を後押しします。レッドハットは、オープンソース技術と企業文化の変革を通じて、2025年に向けてハイブリッドクラウド技術のリーダーとしてAIアプリケーションの展開を支援し、企業の選択肢を拡大いたします。 また、当社は多様性を尊重し、実力主義と透明性を重視するオープンオーガニゼーションの理念に基づき、社員が自らの可能性を最大限に発揮できる革新的な企業であり続けるために、今後も努力を続けてまいります。