「保険とは“損な賭け”のことである」若いビジネスパーソンに必要な保険はたった3つである理由
経済評論家の父から息子への手紙 #3
2024年の1月1日に亡くなった経済評論家の山崎元氏。彼曰く、若いビジネスパーソンに必要な保険は、自動車を運転する場合の任意保険、住宅の火災保険、お金が十分ない状態で子どもが生まれた場合に稼ぎ手に掛ける死亡保障の生命保険の3つだけだという。 【画像】「生産」には「労働」とともに「資本」が必要…図でわかる会社の仕組み 書籍『経済評論家の父から息子への手紙』より一部を抜粋・再構成し、お金と人間関係、自分への理想的な投資先についても解説する。
株式投資は「働かないで稼ぐ」ことではない
「お金にも働いてもらうといい」という言葉の意味を説明したい。 古い世代には、投資で稼ぐことを「自分が働かずに、お金でお金を得ようとすることだ」として忌避する感覚を持つ者がいる。 しかし、図1で分かるように、「生産」には「労働」とともに「資本」が必要であり、株式投資は自分のお金を資本として提供して「働かせる」ことであり、この際にリスクを負担している。決して働かずに儲けようとする行為ではない。 そして、投資の目的がリスクプレミアムの獲得であり、そのための効率的な手段が「全世界株式のインデックスファンド」を長期保有することである。
お金の問題は感情を排して理屈と計算で考える
手持ちのお金を増やすための資産運用をはじめとして、お金の問題には誤解しやすい罠や、誤った俗説が多々存在している。 誤解が存在する主な理由は、お金の問題は人間の「感情」に働きかけやすいので、本来、論理や計算で処理されるべき問題の答えを間違えやすいこと(行動経済学的理由)と、金融ビジネス業界が自ら儲けるために流している誤解や俗説の影響が方々に存在すること(ビジネス的理由)の二つだ。 他人の話を真に受けたり、ビジネスに影響された書籍や記事の影響を受けたりすると、お金の扱い方で間違いを犯しやすくなる。 一つひとつの問題に直面した時に、自分の頭を使って論理と計算で解決することが肝心だ。お金の問題は、金額で正否が評価できるので正解を確認することが比較的簡単だ。
人間関係とお金の問題を完全に切り離せ
人生の中で出会ういろいろな人たちの中には、お金の貸し借りを申し入れてきたり、生命保険などの保険、儲かるという触れ込みの投資商品、あるいは金融関係者などを紹介しようとする人がいるにちがいない。 お金の貸し借りは微妙な問題で、案件によっては常に断るのがいいとも限らないが、友人・知人が相手だと、貸しても借りても、ストレスが大きい。「基本的には、やめておけ」と言っておく。付け加えると、債務の保証人は「絶対にやめておけ」と言っておく。 また、生命保険と投資商品は、友人が紹介するようなものにろくなものはないので、一切関わらないと決めておくことが肝心だ。「悪いけれども、ポリシーとして、友情とお金は一切絡めないことにしている」という言葉を用意しておこう。