カナダに43歳新首相が誕生 対IS空爆撤退など外交政策はどうなる?
格差解消へ富裕層増税打ち出す
ルックスや家族のことが話題になりがちなジャスティン・トルドー氏。彼が首相になることで、カナダはどう変わるのでしょうか? 国内政策や外交政策をみても、2006年から10年近く続いたハーパー政権とは大きく異なります。トルドー氏はすでに富裕層への増税について言及しており、法人税の減税で景気のテコ入れを図ろうとしたハーパー政権との違いを打ち出しています。 また、ハーパー政権と米オバマ政権との間で妥協点を見いだせないまま議論が続いていた、カナダのアルバータ州とアメリカのテキサス州を結ぶ石油パイプライン建設計画でも、今後進展がみられる可能性は高くなっています(天然資源の輸出を経済再生の核としたかったハーパー政権に対し、オバマ政権は環境面への配慮という理由から建設を認めてきませんでした)。 老朽化した国内のインフラの立て直しや、カナダで問題になっている格差問題の解決を図るために富裕層への増税と中間層への減税案がすでに出されており、トルドー政権はまずカナダ国内で経済関連の新政策を打ち出す見通しです。しかし、外交政策でもこれまでの10年から大きく方向転換するとみられ、とりわけ安全保障関連では隣国アメリカと一線を画した路線にシフトチェンジする可能性が高まっています。
対IS空爆撤退やJSFプログラム離脱も
カナダ軍は昨年11月、戦闘機や偵察機を中東に派遣し、イラクとシリアで現在もアメリカ主導で行われている対「イスラム国」空爆作戦に参加していましたが、トルドー氏は20日に行ったオバマ大統領との電話会談の中で、空爆に参加している戦闘機を全て撤収させる意向を伝えています。 その代わりに、イラクに軍事顧問団を派遣し、イラク軍の訓練を強化する案がすでに出されています。 カナダは昨年10月からイラク国内のイスラム国支配地域に限定して空爆を開始しましたが、空爆開始から間もなくして首都のオタワやケベック州で軍人が殺害されるテロが発生。ハーパー政権はイスラム国によるテロの脅威を主張し、多くのカナダ人が空爆に賛成する姿勢を見せましたが、直接空爆を行うよりも軍事顧問団による現地の反イスラム国勢力の訓練の方が、カナダが直接テロのターゲットになる可能性が低いだろうという考えがトルドー氏にはあった模様です。