不動産の「相続登記」と「名義変更」の違いは?…相続で名義変更を怠った場合の主な“3つのリスク”【弁護士が解説】
名義変更の際に考慮すべき「名義人の選び方」
相続による不動産の名義変更では、誰に名義を移すべきか慎重に検討する必要があります。 相続人が複数いる場合、名義を誰に変更するかで財産の承継に大きな影響を及ぼします。配偶者、子供、共有名義のいずれを選ぶかによって、異なるリスクや利点が生じるからです。 母名義にする場合のメリットとデメリット 母親名義にする主なメリットは、配偶者控除による相続税負担の軽減と、母親が住み続けられることで生活が安定する点です。ただし、母親が亡くなった際の二次相続では、再び手続きが必要となり、その過程で兄弟姉妹間のトラブルが起きる可能性があります。 子供名義にする場合のメリットとデメリット 最終的に子供が不動産を引き継ぐ場合、初めから子供名義にしておけば、二次相続を避けられ、登記や税金のコストを削減できます。しかし、母親が住み続けている場合、子供名義に移すことで母親の権利が制限されることや、子供が予期せず不動産を売却するリスクも考慮が必要です。
共有名義にする場合のメリットとデメリット 複数の相続人で共有名義にすれば、全員の権利を公平に扱えます。ただし、将来不動産を処分する際、全員の同意が必要となり、意思統一が難しくなることがあります。また、共有者の一人が債務を抱えている場合、持分が差し押さえられるリスクも考えられます。 最適な名義人の選定方法 名義変更では税金や登記コストだけでなく、将来の財産承継や相続人間の関係性も考慮して判断することが大切です。例えば、最終的に財産を残したい子供が決まっている場合、配偶者を経由せず直接子供に名義変更することでコスト削減や手続きの簡略化が可能です。ただし、相続税率や他の相続人との調整も必要です。 夫婦の一方が先に亡くなった場合、残された配偶者に名義を変更するのが最適とは限りません。場合によっては、子供に直接名義変更するほうが、二次相続を避ける上で有利です。