インドネシア・バリに寒川裕人/ユージーン・スタジオの常設美術館「Eugene Museum in Bali」が建設。開館は2026年を予定
インドネシアを代表する建築家アンドラ・マティン(Andra Matin)が設計を担当。敷地は約1ha、延床面積約3500㎡、施設総面積は約5000㎡を予定
インドネシア・バリ島のユネスコ世界遺産タナロット寺院に囲まれた緑豊かな一帯に、寒川裕人/ユージーン・スタジオの常設美術館「Eugene Museum in Bali」が建設される。今年の夏に着工開始され、2026年に開館予定。敷地は約1ha、延床面積約3500㎡、施設の総面積は約5000㎡にもなる予定だ。 昨年11月に首都ジャカルタに美術館準備室(オフィス)が開設され、2024年5月末にインドネシアにて計画が発表された「Eugene Museum in Bali」。美術館の建築パートの設計は、2022年にアガ・カーン建築賞を受賞し、インドネシアを代表する建築家アンドラ・マティン(Andra Matin)が担当。また、過去にグッゲンハイムビルバオやヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)などを担当したロンドン拠点のチームがコミュニケーションマネジメントパートを担う。 「Eugene Museum in Bali」は、アジア地域およびそれ以外の様々な地域を巻き込むハブを目指している。美術館は昨年開校したインターナショナルスクールの隣接地に建設予定で、ミュージアムには、カフェやステイ、アーティストの活動に関する豊富な資料を含むライブラリも併設される。建築は周囲の木々を切らずに保護するよう設計されており、教育ワークショップが美術館の社会活動の一環として行われる予定だ。 美術館の開館までにはまだ数年ありますが、毎日のように建築図面や景観開発の進展を受け取り、その完成を楽しみにしています。インドネシアを訪れ、そこで友人たちと交流することは本当に喜ばしいことでした。数年前、インドネシアの言葉「ヌサンタラ」という言葉に出会いました。この言葉は「群島」を意味します。矛盾があっても共にある姿、真の共生を意味するようです。現在の世界もまた群島でしょう。今後、この言葉をより深く理解するために時間をかけていきたいと思います。 アジアはますます洗練されつつあります。お話があったとき、環境としても地理としても、バリは自分にとって親しみやすい場所でした。常緑の自然のなか、多様な人々が訪れるこの稀有な場所は、地理という視点でみても、世界の中心のひとつであると感じています。 自由に、世界が必要とするシステム/エコロジーを体現すること。紋切り型の先入観や市場にとらわれずに実践すること。これが現代美術の本質的かつ重要な役割のひとつだと考えています。訪れたひとのなかのひとりが、何かを変える機会を持つことができれば、それが世界を変えることにつながるかもしれないと期待しています。(プレスリリースより、寒川裕人コメント) 私の建築実践とユージーンの作品には、多くの共通点があります。たとえば、太陽、風、影といった自然の要素への敬意です。Eugene Museumとその周囲の風景を一体化させることで、日中を通して自然光が美術館の内部空間に共鳴し、適応するように設計しました。作品展示に必要な照明を除いて、美術館全体で最小限の人工照明にします。これは、持続可能な美術館を建設するという我々のコミットメントを示す独自のアプローチです。(プレスリリースより、アンドラ・マティンコメント) 絵画、大規模インスタレーションにおいて洗練されたアプローチ、教育的な取り組みで知られる寒川裕人/ユージーン・スタジオ。東京都現代美術館にて最年少で個展「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」(2021~22)を開催し、数多くの来訪者が訪れた。「Eugene Museum in Bali」は、"新しい海"の続きであり、新しい美術館の形、社会実践的な場になる。2026年の開館を楽しみにしたい。
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