福島の山間部で52年ぶりに生まれた赤ちゃん、すくすく育って1歳…「地域全体が大きな家族みたい」
福島県金山町の山間部で、52年ぶりの赤ちゃんとして生まれた青沼玉來(たら)ちゃんが3日で1歳になった。父と母は移住者で、12世帯が暮らす太郎布(たらぶ)集落で住民や移住者仲間に支えられながら子育てを楽しんでいる。記者が1年ぶりに会いに行くと、生き生きと暮らす住民に囲まれながら、元気に遊ぶ姿が印象的だった。(薬袋大輝) 【写真】小さい…!生まれたばかりの玉來ちゃん
サツマイモ大好物
父・大さん(31)は札幌市から、母・恵美子さん(41)は昭和村からそれぞれ移住し、結婚した。10月20日昼過ぎ、町中心部から車で10分ほどの山里にある夫婦の自宅で、近所の2世帯がテーブルを囲んでいた。まきストーブの暖かさに包まれる部屋で、輪の中心にいるのが玉來ちゃんだ。首は座り、「マンマ(ご飯)」と口にする。下の歯が2本生え、金山赤カボチャやサツマイモが大好物だ。体重は8キロになった。
地域全体が家族
自宅で産声を上げた玉來ちゃん。町の福祉センターで定期健診を受け、健康に育っている。ベビー服は奥会津の移住者仲間や山梨県に住む大さんの両親が届けてくれる。「イサコ姉」と呼ばれる近所の90歳超のおばあちゃんが「ちょうず、ちょうず」と手をたたき、あやしてくれる。さらしを使っておんぶする方法も教わった。
恵美子さんは「昔からの知恵を教えてもらって発見がある。子どもが毎日ちょっとずつ成長するのをみるのは楽しい」と話す。稲刈りにも挑戦し、その間は地域の仲間が子守をしてくれる。「地域全体が大きな家族みたいで、ありがたい」
県内最高の高齢化率
金山町は住民の6割が65歳以上で、県内で最も高齢化率が高い。太郎布集落の移住者は夫婦を含め3世帯だ。八須環(たまき)さん(48)は神奈川県出身で、27歳の時、伝統工芸「からむし織」を学ぶため昭和村に移住。19年5月に埼玉県出身の夫、友磨さん(32)と結婚した後、太郎布の古民家に移り住んだ。環さんは玉來ちゃんの髪を切る予定で「玉來と話したり、一緒に歩いたりするのが楽しみ」と成長を見守る。