皇室に「婚姻の自由」はあるのか――長期化している結婚問題と皇室制度の課題
4年前の婚約内定後、なかなか進展のない秋篠宮家の長女、眞子さま(29)と小室圭さん(29)。先月、小室さんは金銭トラブルを説明する文書を公開したものの、好転しているとは言いがたい。顧みて、その小室さんに眞子さまが一途なのはなぜなのか。皇室とはいえ、結婚の自由はないのだろうか。作家・赤坂真理さんと憲法学者・木村草太さんに見解を聞いた。(ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
眞子さまが小室さんに惹かれる心理
■赤坂真理・作家 「報道やネットを見ると、『眞子さまは純粋だから小室さんのような男に騙された』という意見があります。真実はわかりませんが、私にはそうは見えません。小室さんには野心やえたいの知れない魅力があるのを感じます。眞子さまがそういう男性に惹かれた心理を考えてみると、清純派に見えていた女優がときにワイルドタイプの男性と付き合ったり結婚したりするように、眞子さまに『枠を出たい』という無意識の欲求があったようにも感じられます」 「その背景に考えられるのが近代天皇制の息苦しさです。天皇制は血統主義と家制度の性格を併せ持っていますが、その相性はあまりよくありません。家制度は、家が存続すればいいので養子や婿をとることを躊躇しません。ところが、近代天皇制は血統主義を絶対的なものとし、しかも、男系男子しか皇位を継承できないとしています。その両立と存続はものすごく困難になります。眞子さまが小室さんに惹かれたのは、そんな制度のひずみに対する苛立ちのようなものが表出した結果にも思えます」
赤坂さんは作家として女性の愛や性、生き方、生きづらさなどを描いてきた。歴史認識を題材にすることも多く、2019年の小説『箱の中の天皇』では、天皇の象徴としての意義を鋭く世に問うた。今回の小室さんをめぐる眞子さまの問題は、彼女のアイデンティティの獲得に関わっているように映るという。 「眞子さまはこれまで『問題のない良い子』であり、『皇室でいちばん無難な子』という位置づけをされていたように思います。もちろん実像はわかりません。でも、妹の佳子さまはアイドル扱い、弟の悠仁さまは皇位継承資格を持つ男子というポイントがあるのに対し、眞子さまは当時の天皇の初孫として生まれ、『しっかり者の長子』以上のものを期待されていない感じでしょうか。そんな眞子さまからすると、一族の中で『自分は何者か』というアイデンティティの置きどころが皇室にはなかったのではないでしょうか」