キャッシュカードと暗証番号の把握は必須…元気なうちに預貯金の確認を【親を要介護にさせたくない】
【親を要介護にさせたくない】#21 親に対してなかなか聞きづらいこと。それはズバリ「お金」の話ではないだろうか。高齢の親だと死んだ後のことを想定しているようでためらってしまうのは当然だ。それでも確実に老いは進む。老いていけば認知面の衰えから、資産の把握が難しくなる可能性が高い。元気なうちに最低限のことは尋ねておくべきだ。 腰に触れて「崩し」を利用すれば体格差があっても起こせる 預貯金はその最たるもの。とはいえ、具体的な金融機関名や通帳、届け出印の置き場所は後でいい。まずはキャッシュカードと暗証番号の把握をしておきたい。それさえできていれば、親が病気やケガで介護状態になってしまった時の急な出費に、子供がATMで対応することができるからだ。 かなり高齢の親だと手続きが面倒、操作がよくわからないなどの理由でキャッシュカードを作っていないケースもあるだろう。帰省などのタイミングで一緒に銀行に行き、作製を手伝ってあげることをお勧めしたい。 また、すでにネットバンキングを利用しているなら、ログイン情報もぜひ共有しておこう。遠隔介護になっても子供が必要な支払いや振り込みに対応することができるからだ。キャッシュカードと違い、24時間、いつでも、どこからでも操作できるのが利点だ。もちろん、こうした操作は親や他の相続人の同意を得てから実行することを忘れずに。 参考までに、すでにある口座をネットバンキングで使えるようにする手続きは、働き盛り世代なら銀行に足を運ぶことなくネットでできる。しかし、名義人が高齢者だと昨今の詐欺事件の横行などから、「〇歳以上は窓口対応のみ」といった条件を課す金融機関が増えている。HPなどでしっかりチェックしておきたい。 なお、レアケースながらタンス預金の有無も確認しておいたほうがいい。千葉県に住むNさんは、急病で入院した高齢の母から「実は床下収納庫の一番奥に現金を保管している。アンタが管理して」と頼まれた。確認すると、ビニール袋に入った海苔の缶が3つあり、それぞれに1万円が100枚入っていたという。 株についても同様の対応が必要だ。所有している株式が誰の名義で何株あるのか。そして、どのような方法で取引をしているのか。ネットを利用しているならログイン情報さえわかれば比較的全体像をつかみやすいが、電話取引のみで何年も塩漬け状態の株があるかもしれない。配当金の有無も含め、今後の運用をどうしたいのか相談しておこう。 (西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)