教員から…気付けなかった性被害 20年が過ぎ「普通の恋愛と違った」 きょう“日本版DBS”審議入り
■性被害を言えずに抱えている人へ ――
もし周りの人に性被害を打ち明けられた場合、どう対応してほしいかを尋ねると、石田さんは「偏見なく、ただ黙ってとりあえず聞いて欲しい。何をしていいかわからなかったら、警察やワンストップセンターに電話をしてほしい」という。 「ワンストップ支援センター」は性犯罪や性暴力に関する相談窓口で、その認識が広まってほしいと石田さんは話している。 相談した結果、嫌な思いや経験をする二次被害の心配もあるとしつつ、どこかに相談してほしいと話す石田さん。男性が被害者の場合や時間が経過した場合など事情はさまざまで、ケースごとに異なる細やかな支援が必要だ。石田さんは相談員の待遇改善や被害者への公的サポートなどが必要だとし、「安心して相談できるようになってほしい」と話す。
■「形だけのものにならないで欲しい」強い思い
「こどもへの性暴力は、いたずらとか言われてすごく軽い扱いを受けていたことを考えれば、ここ数年でだいぶ認識が変わってよかったなと思っています」 「せっかく政府が画期的な制度を作ってくれるんだったら、少しでも性被害がなくなるよう、形だけのものにならないで欲しい」 一方、法律の難しさやもどかしさも感じているという。 「今回(の制度は)刑事事件で有罪になったとか条例違反だけが対象なので、例えば裁判とかを経ないで、懲戒処分になって教員免許を失った人や、教員免許を失っていないけど、懲戒処分を受けた人とかはDBS(性犯罪歴確認)の対象に入っていない。そういう人たち、例えば教員免許を失っている人が、学校には戻れないけど、塾講師とか家庭教師をすることには制限がない」 「学校の先生は過去40年遡れるデータベースがある。ところがDBSは、刑事事件でも刑が終わってから20年なので、この40年よりも短く、仮に刑事事件だとしても、学校の教員だった人が別のところで働けてしまうという問題がクリアされていない」 石田さんは今月2日、こども家庭庁に日本版DBSと学校教員による性暴力に関する要望書を提出した。 「DBSができることで、よく初犯は防げないと言われる。ただそういう制度ができること自体が、もう《性暴力は1回でもやったら駄目なんだ》と強いメッセージになっていると思う。DBSをきっかけに、こどもを守るために、防止対策とか、教育も進めてほしいと思っています」