教員から…気付けなかった性被害 20年が過ぎ「普通の恋愛と違った」 きょう“日本版DBS”審議入り
■裁判所が性的被害の事実認定 教員も懲戒免職に
石田さんは37歳の頃、社会勉強のためと裁判を傍聴した。養護施設の男性職員が、施設に通う少女に性的な行為をしたという裁判だったが、年齢や関係性、職員の言い分が、自分と教員の状況に似ていた。 「私に起こったことは、裁判になるようなことだったのか―――」 その後、NPOなどに相談する中で、教員に会う時の“どんよりした雲のような気持ち”を思い出し、「普通の恋愛とは違った」と性被害を受けていたことに気づいたという。 石田さんはその後、教員と札幌市を相手に民事訴訟を起こした。「悪いことをした人が学校の先生をしているのはおかしい」という価値観のもと、目的は損害賠償ではなく、(性被害の)事実認定によって教育委員会が教員を処分をすることだった。2020年、東京高裁は損害賠償請求は棄却したが、性的被害の事実を認定。2021年、札幌市教育委員会はこの教員を懲戒免職とし、石田さんに謝罪した。
■周囲に打ち明けても「なぜ今さら」
石田さんは被害を受け始めた頃、お腹の調子が悪く、アトピー性皮膚炎になる一方、人ともしゃべらずに猛勉強したという。それは、“勉強すれば嫌なことを考えなくて済むので自分を守っていたんじゃないか”と、被害に気づいた後、弁護士に指摘されたという。 また、男性との交際がうまくいかなかったが、理由がわからなかった。裁判の傍聴をきっかけに、性被害を調べ始めた頃、悪夢を見るようになり、教育委員会に交渉に行くと頭がボーっとし、電車内で当時のことを思い出して恐怖を感じるなどしていた。受診したところ、PTSDの診断を受け、数年間、治療を受けたという。 「周りの人に『あれはわいせつ行為だったんじゃないかと思う』と言ったら、『なぜ今さら』という反応が9割で、あとは『好きだったんでしょう』『付き合ってたんでしょう』という反応が多くて」 「本当に従属させられていたというか。自分も(当時は)認識できていないから、言葉でうまく伝えられない。今だったら『恋愛と思わされていた』とか一言で言えるんですけど」