北斗七星からたどる「春の大曲線」 周辺の星をつなげたら見えてくる物語
春の夜空、高いところに明るい星を7つ結んでできる柄杓(ひしゃく)のかたち「北斗七星」。春の星座を探す目印となっています。 その柄杓の曲がった柄の部分を、明るい星2つめがけて南の方角へと伸ばすと大きなカーブが描けます。それが「春の大曲線」。今回は、春の大曲線を描いた1つ目の星とその近くに輝く星座をご紹介しましょう。
少し覚えにくい名前のうしかい座の一等星
北斗七星からたどってみるのもいいですが、おそらく今の時期に真上を見上げると、オレンジ色の星がすぐ見つかります。 うしかい座の一等星「アルクトゥールス」。なんとも覚えにくい名前の星ですが、意味は「熊の番人」からきています。日本では、麦の刈り入れの時期になると宵の空高く輝いて見えるところから、「麦星(むぎぼし)」と呼んでいます。こちらの方が覚えやすいですね。 また、梅雨の日暮れ時に空高く見えるところから「五月雨星(さみだれぼし)」とも呼ばれていたとか。夜空で見つけたときには、ぜひ、あなたの覚えやすい名前で呼んであげてください。
猟犬を連れた巨大な熊の番人
街中では、一等星アルクトゥールスくらいしか見つかりませんが、そこから細かな星を結ぶとネクタイを逆さまにしたような星の並びがあります。それが牛を飼っている男の人の姿「うしかい座」。きちんと星を結べたときには、かなりの大男であることが感じられます。 実は、この星座はすぐ隣にある2匹の犬「りょうけん座」とつながっているのです。でも、なぜ牛飼いの大男が、牛ではなく猟犬を連れているのか。そのわけは、りょうけん座のすぐ隣にある北斗七星です。そこには、前回ご紹介したおおぐま座があります。実は、この3つの星座を合わせて見ることで、飼っている牛を守るため、2匹の猟犬を連れて熊を追い払っている姿となるのです。 アルクトゥールスの言葉の意味「熊の番人」は、ここからきていたのですね。ちなみに、うしかい座の神話となったモデルははっきりしていません。春の夜空、私たちの頭の上で描かれる3つの星座をつかって、あなただけの物語をつくってみませんか?