出産育児一時金の引き上げで軽減されたはずが…妊婦の負担額が再び増加、原因は産院の値上げ
厚生労働省は13日、妊婦の出産費用を巡り、出産育児一時金の引き上げで軽減されていた実質負担額が増加しているとの調査結果を明らかにした。産院などで出産費用が値上げされていることが原因だ。 【写真】医療機関ごとの出産費用・分娩実績が一目瞭然、厚労省が比較サイト開設へ
政府は少子化対策のため、2023年4月に出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げた。医療費に個室料やお祝い膳などの費用を含めた出産費用はそれまでの1年間は月平均で1240円程度の微増傾向だった。しかし、23年4月分は増額幅が1万6242円と大きくなり、それ以降も増額傾向が続いている。
出産費用と出産育児一時金との差額である妊婦の平均実質負担で見ると、23年3月分は13万2731円で、4月分は6万8973円に軽減されたものの、24年8月分は9万4191円に上った。
調査結果は、出産費用への保険適用を検討している有識者検討会で示された。出席者からは「一時金引き上げに伴い、費用が上昇している印象は拭えない」と値上げに批判的な意見が上がった。一方、産科医からは「値上げの多くは人件費だ。保険化が実行されると、(自由な料金設定で費用を賄えず)産科医の生き残りに決定的なダメージを与える」との反論が出た。