可愛いから…だけじゃない?『溶鉄のマルフーシャ』『救国のスネジンカ』で過酷な運命と戦う少女たちになぜ心惹かれるのか。□バッドエンドが「良い悲劇」になる条件□とは?
これは「可愛らしい少女がその身に似合わない銃を持つ」という「セーラー服と機関銃」的なギャップであると同時に「『マルフーシャ』世界ではそうせざるを得ないほど戦争が加速している」という説得力としても機能します。しかしプレイヤーは「現在の日本でそんなことはありえない」と違和感を感じるのです。
◆「悲劇」が「劇」であるために重要な“リアリティ”
さて、「バッドエンドだけど心に残る作品」は古今東西「悲劇」という形で親しまれてきました。特に日本においても悲劇の物語は数多く描かれています。有名なところで言えば「平家物語」の「敦盛最期」などでしょうか。今では□信長が踊るあの踊り□という印象が強いですが、これは源平合戦で平家が敗走する中、源氏方の熊谷直実が16歳の平敦盛を討ち取る物語です。
たまたま出合わせた平敦盛と熊谷直実の一騎打ちがストーリーのメインなのですが、熊谷直実は直前の「一ノ谷の戦い」で16歳の子を亡くしており、平家の武将は仇となります。一騎打ちは熊谷直実の勝ちに終わり、いざ首を取ろうという段階で、敦盛が息子と同じく16歳であると知り、亡き息子と敦盛を重ね合わせてしまいます。
息子と敦盛を重ね合わせた熊谷は、未来ある彼の首を取りたくないと思うわけですが、□平敦盛□は立派な大将首……斬らねば裏切りに当たると味方に言動を見張られる中、敦盛を討ち取ることになります。そして褒賞を断り、世を儚んで出家するというのが「敦盛最期」の結末です。
これは戦争という状況下で、平家と源氏という垣根を超えた関係性を得たにも関わらず、「世の無常」に抗えないという内容です。人の想いを超える社会情勢が「殺された息子と似た存在になってしまった敦盛を殺す」という因果極まる惨状を生み出します。
ちなみにこの一連の流れは歌舞伎などで「一谷嫩軍記~熊谷陣屋」として脚色され、忠義のために「敦盛を生かすため、偽装として息子の首を献上する」という内容に代わります。歌舞伎役者の演技もあわさり、めちゃくちゃかっこいい話になっていますので、オススメです。
【関連記事】
- 【吉田輝和の絵日記】今度は妹ちゃんが可愛くて可哀想!税金引かれまくりの給与明細を手に過酷な労働環境で戦う『救国のスネジンカ:Sentinel Girls2』
- ハイテンポディストピアSTG『救国のスネジンカ』配信後5日で販売本数5万本突破!Steamユーザーレビューは「圧倒的に好評」―今回も日本で圧倒的な売上に
- 過酷な闘いの日々が再び始まる。『溶鉄のマルフーシャ』の続編となるハイテンポSTG『救国のスネジンカ』Steamで配信開始
- 実はSteamで圧倒的に売れ行きが良かった国は…ディストピアSTG『溶鉄のマルフーシャ』販売本数が20万本突破!続編『救国のスネジンカ』も2024年8月27日発売予定
- 『救国のスネジンカ』8月27日発売決定!ディストピア世界での少女たちの戦いが再び―『溶鉄のマルフーシャ』続編