可愛いから…だけじゃない?『溶鉄のマルフーシャ』『救国のスネジンカ』で過酷な運命と戦う少女たちになぜ心惹かれるのか。□バッドエンドが「良い悲劇」になる条件□とは?
忘れてはならないのが、『溶鉄のマルフーシャ』はディストピア社会を舞台に徴兵された少女たちが戦う物語。独裁国家で徴兵された存在である以上、敵軍の上層部にいるボスとの戦いなんて起こらないのです。そもそも、味方であるはずの国も「一般人にとっては」敵対的存在描かれます。少女たちは徹頭徹尾、上層部に都合よく利用される道具なのです。
『救国のスネジンカ』でも立場や状況は変われど、それは変わりません。これが上手いところで、プレイヤーたちは「誰を憎むべきか」という対象がぼかされたまま悲劇を体験していくことになります。
指導者の「理念や性格」などは(あまり)見えず、圧政あるのみ。敵国にも得体の知れない気味悪さがあり、救いを求めることもできません。頼れるのは戦場を共にする相棒のみ。「この世の不条理」vs「少女」という構造がシンプルに組み立てられており、この□どうしようもなさ□がプレイヤーに「悲しいけど、それ以外に道はない」と感じさせてくれるのです。
『救国のスネジンカ』はマルフーシャの妹、スネジンカが主役となる続編とあって、さらに各組織や人間関係が複雑化されました。シンプルな構造から脱して「ファンが知りたかったアレコレ」まで語られるようになったわけですが、しかしここでも「ままならなさ」は変わりません。
『マルフーシャ』シリーズで忘れてはいけない要素が、パートナーとの絆です。悲惨な結果に終わろうとも、個性豊かなキャラたちと絆をはぐくむ□人情□が、幾分かプレイヤーの心を和らげてくれるのです。
そして「少女である」という要素も非常に重要となってきます。もちろん可愛らしい少女がプレイアブルキャラだという「可愛いは正義」な点も本作の魅力ですが(実際、筆者が初めに『溶鉄のマルフーシャ』を手に取ったのも「あ、可愛い」が理由でした)、そもそも少女が「戦場に縁がない存在」であるということも無常感や理不尽さを加速させるのです。
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