「メゾン マルジェラ」のジョン・ガリアーノが退任 ファッションの感動とビジネスの発展をもたらした10年の関係に終止符
「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」のジョン・ガリアーノ(John Galliano)=アーティスティック・ディレクターが退任した。後任は未定。ガリアーノも今後の活動については明言していない。 【画像】「メゾン マルジェラ」のジョン・ガリアーノが退任 ファッションの感動とビジネスの発展をもたらした10年の関係に終止符
2014年に就任したガリアーノは、これまでの10年間でファッションの感動や文化的な瞬間、そしてビジネスの発展をもたらしてきた。「メゾン マルジェラ」と彼のパートナーシップは、1月に開催された24年“アーチザナル”コレクションのショーで頂点に到達。クリエイティビティーに軸を据えたスペクタクルで世界的な賞賛を浴び、ガリアーノをファッション界の頂点に押し上げた。また市場関係者によると、ガリアーノの就任時と比べてビジネスの規模は約5倍の5億ドル(約750億円)に近づいているとみられ、世界での店舗数も50から120に増えた。
「WWD」の独占取材に対し、同ブランドを擁するOTBのレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)会長とガリアーノは、このパートナーシップは豊かで人生を変えるような画期的なものだったとし、お互いに感謝の意を表するとともに円満な別れであることを強調した。
ガリアーノは、「この美しいメゾンとの別れに際し、私の心は喜びと感謝であふれ、魂は微笑んでいる。私はこれからも償い続け、夢を見ることを決して止めない」とコメント。ロッソ会長との関係を「家族」という一言で表現し、「マルタンが築き上げたメゾンのアーティスティック・ディレクターのポジションに私を招いてくれたことで、彼は私に最大かつ最も貴重な贈り物を与えてくれた。私が声なき声になっていたときに、もう一度自分のクリエイティブな声を見つける機会を与えてくれた」と話した(これは11年にパリのバーで人種差別と反ユダヤ主義的な暴言を吐き、「ディオール(DIOR)」と自身の名を冠したブランドから追放されたことを指している)。
一方、ロッソ会長も「ジョンと、仕事を超えて、尊敬と感謝、そして深い友情に基づいた関係を築き上げられたことを誇りに思っている。私たちは、ファッションの歴史に永遠に刻まれるような素晴らしい偉業を共に成し遂げた」と述べた。また、「同じようなコレクションがますます増え、製品も本当の意味で際立ったDNAを持たなくなりつつあるこの世界で、ジョンが中心に据えてきたのは、製品の素晴らしさや文化、価値。彼は、『メゾン マルジェラ』をクリエイティビティーへの欲求とファッションへの夢を体現するユニークなメゾンにし、こうした稀有な製品価値に基づく世界的な成功へと導いた。そして、彼は世界中の若者たちにインスピレーションを与えた。前回の“アーティザナル”ショーの後、彼がネット上で生み出したものを見てみれば分かるだろう。ショーの後、すでにキャリアを確立している多くのデザイナーたちが彼に連絡を取り、自分たちの仕事の理由を思い出させてくれたと伝えた。今の時代においては尊いことだ」と説明。「私の親愛なる友人であるジョンの成功を祈っている。そして将来、私たちがコラボレートできる他のプロジェクトもあると思う」と続けた。