サッカーを楽しむための公立中という選択肢。部活動はJ下部、街クラブに入れなかった子が行く場所なのか?
サッカーを楽しむための公立中という選択肢
レベルの差がある程度あるのは仕方ない。しかし、そうした状況を受け入れながらも、できることはまだまだある。プロサッカー選手を目指したい選手もいれば、違う夢を持っている子もいる。そうした異なるベクトルを持つ生徒たちにサッカーの面白さを伝えていく役割は今も昔も変わっていない。 「どうしてもピラミッドはある。プロサッカー選手を目指す子もいれば、楽しみたくてやっている子もいる。その中で今後もサッカーを続けたいと思っている子もいるし、中には隠れた才能を持った選手も少なくありません。なので、いろんな選手がサッカーをやりながら楽しみつつも厳しさを味わって、サッカーの本質を知ってほしい。 Jクラブだから、街クラブだから、公立中だからとかではなく、サッカーをやりたいという子に対してわれわれは場所を提供したいと思う。その中でトレセン活動などもあるので、上のレベルを味わえば、また違った環境で刺激をもらえる。そういう選手を一人でも多く育てられたらいいなと思っています」 また、公立中には街クラブから転籍してくる選手も少なからずおり、彼らの受け皿になっている点も存在意義の一つだ。 「自分はその子が伸びる環境でプレーしてもらって、磨いてもらいたいという思いがある。人間関係や経済的な面を含めて街クラブでうまくいかなくても、部活動で伸び伸びやれる子もいます。他の学校のサッカー部でも初めて見る子が大会に出ているケースもあって、聞いてみると街クラブから来た子だったりするんです。例えば街クラブでは人間関係がうまくいかなくても、サッカー部に入って中心選手として頑張ってくれる子もいるので、そういうところは環境によって全然違った自分を見せることができるのかなと思います」 子どもたちにとって、何が最適解なのかはやってみなければわからない。上のレベルを目指すのであればJリーグの育成組織や街クラブが望ましいと言われているが、選手によっては公立中で試合に出られる環境がプラスに働く場合もある。 正解はない。多感な中学年代の子どもにとって、大事なことはサッカーを楽しめる環境かどうか。そうした環境を求めるのであれば、公立中という選択肢もあって然るべきだ。 <了>
インタビュー・構成=松尾祐希