劇団民藝の伊藤孝雄が死去、樫山文枝・日色ともゑがコメント
伊藤孝雄が、昨年8月14日に多臓器不全のため死去していたことが、本日1月9日に伊藤が所属する劇団民藝より発表された。87歳だった。 伊藤は1963年に俳優座養成所(12期)を卒業後、劇団民藝俳優教室に入所し、1965年に劇団民藝の劇団員となる。同劇団での初舞台は、1964年上演の「人質」のレスリー・ウィリアムズ役。1967年に「汚れた手」のユゴー役と、「白い夜の宴」一郎役で、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。葬儀は8月18日に家族のみで執り行われ、お別れの会は予定されていない。 伊藤の死去に際し、劇団民藝の樫山文枝は「目の覚めるような天下の二枚目なのに中身は三枚目でユーモアあふれる愛すべき人でした。どんな役にも真剣にとり組む孝雄さんの姿が目に焼きついています。恋人だったり夫婦だったり、最後は娘の役まで共演させていただきました。支えていただいたことの多さにお礼も言えなかったことが悔やまれます。長い間本当にお疲れさまでした。やっとゆっくり休めますね。ありがとうございました」、同じく劇団民藝所属の日色ともゑは「孝雄さんは劇団に入ってすぐにサルトルの『汚れた手』(宇野重吉演出)で主役をつとめました。『回収不能だ!』最後の台詞が東横ホールの客席に響きわたり、感動で席を立てなかったことを今でも思い出します。その後60年以上孝雄さんとは沢山の舞台で共演しましたが誠実で立っているだけで素敵な人でした」とそれぞれコメントした。