首長が刑事告発されることも ニュースで耳にする「百条委員会」とは?
「〇〇市に百条委員会が設置された」と報じられることがしばしばある。自治体の首長ら権力者の疑惑を追及する際に登場することが多く、ときには議会が特定の政治家を“つるし上げ”ているようにも映る「百条委員会」。そもそも、どのように設置され、どの程度の権限を持つ委員会なのだろう。(行政学者・佐々木信夫中央大名誉教授)
「役所にサウナ」「マンション入手」…首長たちの疑惑を調査
百条委員会(以下、百条委)が設置された事例で、記憶に新しいところでは、市役所内に家庭用サウナを持ち込み、泊まり込んだ大阪・池田市の冨田裕樹市長(44)に関する問題がある。池田市議会は昨年11月に百条委員会を設置。「不適切な庁舎使用」や「公金の私的流用」に加え、本会議、常任委員会での虚偽答弁、市職員に対するパワハラ疑惑も調べた。 その結果、今年4月27日に市長が百条委の場で虚偽の証言をしたとし、市議会は地方自治法違反(偽証)容疑で刑事告発する議案を賛成多数で可決、大阪地検に告発状を提出した。 ここ数年だけでも以下のような区市町村で疑惑が浮上し、議会で百条委が設置された。 (1)東京都千代田区(2020年):区長が一般に販売されないマンションの部屋を不正入手 (2)大阪府堺市(2019年):前市長の関連団体の政治資金収支報告書に多額の記載漏れ (3)神奈川県横須賀市(2015年)市長の市議会での虚偽答弁や不透明な市政運営 (4)大阪府茨木市(2016年):市税高額納税者に対し、市長が税徴収で便宜 都道府県知事もまた例外ではない。 長野県では2015年、県下水道事業に対する知事後援会幹部による不正な働き掛けの疑いが浮上し、百条委が設置された。 東京都でも2013年、当時の猪瀬直樹知事が医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受け取った問題で百条委が設置される動きがあった。 さらに、小池百合子都政になって2017年春、都の豊洲市場移転問題について石原慎太郎都知事(当時)らの用地買収過程に疑惑があるとして都議会が調査特別委員会(百条委)を設置。元知事、副知事、局長幹部、東ガス社長ら20人を超える証人喚問を行ったことも注目を浴びた。この問題では、証人のうち2人については偽証の疑いがあるとし刑事告発した。