実は年々売上が減少している「養命酒」。「アルコール離れ」「酒税法改正」よりも大きい、ずっと抱えてきた“課題”とは?
それは時として困難を伴ったが、新しい企業文化を醸成する重要な契機となった。詳細は後編に記載したい。 ■地元では人気スポットに成長 くらすわに話を戻そう。同施設は開業から8年後の2018年、年間36万人が訪れる人気スポットへと成長した。これを受けて、同社の経営陣、社員からは、こんな声が上がったという。 「市場にただ商品や資金を投入しても、買ってくださる時代ではなくなった。お客様に直接商品やサービスを提供する、ダイレクト事業を並行して進めたほうがいいんじゃないか」「お客様に直接触れ、購買心理を知ることで勉強になるんじゃないか」
このとき、消費者と直接つながるくらすわを、第二の柱となるブランドとして育成する方針が定まった。 後編ー実は売上減少の「養命酒」が狙う“起死回生”の秘策 新規事業の名は「くらすわ」…って一体それなに? ーでは、養命酒という看板を外して赤字覚悟で始めた新規事業が、どのように組織を変えていったのか。老舗企業が抱える「安定感」と「イメージ」という重荷を、どう克服したのか。新旧の価値観の統合から生まれた、独自の成長戦略に迫る。
笹間 聖子 :フリーライター・編集者