「贅沢バイキング」から「ほったらかし」まで…廃れた宿が蘇る“オンリーワン”戦略とは
「ニューアカオ」が再始動~オンリーワン戦略とは?
劇的に復活した静岡・熱海市の「ホテルニューアカオ」。館内では昔懐かしい射的など、昭和の香りがするゲームコーナーが大人気になっていた。 海にせり出したテラスで宿泊客が楽しんでいるのは釣り。釣竿はホテルからのレンタルで、気軽に本格的な釣りが楽しめる。さらにはサップやカヤックなどのマリンスポーツも提供。さまざまなアクティビティが客を呼び込んでいる。 【動画】廃れたホテルが蘇る!驚きの再生術
かつて一世を風靡した「ホテルニューアカオ」は昭和48年に創業。熱海のシンボル的な宿としてその名を知られたが、社員旅行などの団体客が減り、経営は悪化の一途。新型コロナが追い打ちをかけ、2021年11月に営業を終了した。 そんな宿に再生の手が入る。2023年2月、「ホテルニューアカオ」に仕掛け人の姿があった。マイステイズ・ホテル・マネジメント会長・山本俊祐(46)だ。 念入りにチェックしたのは、ビュッフェスタイルのレストラン。試食も行い「やや大人の味なので、取りやすく食べやすいお子さんが喜ぶものも……」。子どもが喜ぶ食事やアクティビティを増やし、これまで以上にファミリー層にアピールする方針だ。
「昔のままのものを再現するのではなく、当初のファミリーフレンドリーなホテルとして親しまれてきたものを今の時代に発展させるというのがコンセプトです」(山本) そして7月、「ニューアカオ」は再生の一歩を踏み出した。 オープンの式典で「一度体験したら忘れられないオンリーワンで際立ったホテルにしていきたい」と挨拶した山本。打ち出したのはオンリーワン戦略だ。他にはない“ウリ”を作り、客を集めるのだ。 実際、そんなやり方で山本は多くのホテルの再生を進めてきた。 例えば千葉・白浜町の「白浜オーシャンリゾート」。かつては南房総を代表するリゾートホテルとして営業していたが、2016年、経営不振により売却された。この宿を引き継いだ山本がオンリーワンとして打ち出したのが、海の幸を贅沢に楽しめる「海鮮浜焼きバイキング」。赤海老やホタテを好きなだけ楽しめるようにした。これでリピーターが増え、宿はにぎわいを取り戻した。 栃木・那須町の「ホテルエピナール那須」はもともと5万坪を誇る地域最大級のホテル。2016年、オーナー企業が売却したことに伴い山本たちが取得した。そして敷地内の森を切り開いて作ったのが、ヤギや羊と触れ合える「どうぶつ広場」。人懐っこい動物たちがいっぱいいるなかで、一番人気はアルパカだ。