「次のアップル、ネトフリ」と呼ばれた海外〝ユニコーン〟の栄光と没落の理由 「再建」成果強調も展望は?
リアルとオンラインの共存は
最新の決算資料では、有料のコネクテッドフィットネスサブスクリプション(機器利用するサブスク利用者)が約298万件で四半期で7万5000件の減少、有料アプリのサブスクリプション(機器利用しないコンテンツのみのサブスク利用者)が61万5000件で約6万件の減少であると発表されました。 機器利用するサブスクリプションは増加が続き、23年に300万件超となっていましたが、そのラインを割り込みました。機器利用しないサブスク利用者は22年に約100万件になってから、減少を続けています。数十万円の専用機器を購入した人でも、コンテンツのサブスクを解約しているというのは、深刻な状況です。 「最先端のもの」「おしゃれなもの」としてブランディングしてきた以上、守るべきはその価値と言えますが、コロナ禍の一時の流行として消費され、かつ、安全ではないものとして生活者からみた価値が損なわれてしまえば、人がオーソドックスなリアルのフィットネスに戻るのは自然なことでもあります。 利用者を夢から醒めさせてはいけない一方、コロナ禍という未曾有の状況で、まったく新しいサービスを提供するための舵取りは難しかったはずです。 そもそも家で運動することには向き不向きがあります。日本でも、家の物置に使用しなくなったフィットネスバイクが放置されている、という人もいるでしょう。 本当に便利で必要なサービスであれば、リアルとオンラインは生活様式の中で共存できるものです。例えば「オンライン会議」は業種によっては定着しているところもあります。一方で、コロナ禍でうたわれた“ニューノーマル”のように、オフィスワークのすべてがリモートに、会議がオンラインのみになることもなさそうです。 ペロトン社の事例からは、新しいサービスが社会に浸透するために必要なのは、その需要のほどを読み誤らないことだと言えそうです。