米金利上昇を警戒、英国発トラス危機の再来も-アポロのスロック氏
(ブルームバーグ): 米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は、米国債利回りが急ピッチで上昇しており、英国のリズ・トラス元首相を辞任に追い込んだような債券市場の混乱が起こり得るとの見方を示した。
米10年債利回りは現在4.6%と、2024年5月以来の高水準をつけている。背景には、減税を掲げるトランプ次期大統領の就任を控え、債務増大への懸念が高まっていることがある。
スロック氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「トラス政権時代のような事態が起こり得る」と述べた。
2022年には、当時のトラス英首相が財源の裏付けのない大型減税を打ち出したことで金融市場が混乱。通貨ポンドは急落し、英国債利回りが急上昇した経緯がある。
米国債のタームプレミアムも足元で2015年以来の高水準にあり、市場の不安を映している。「昨年9月以降の長期金利上昇の8割は、財政政策への懸念が原因だろう」とスロック氏。「高金利の長期化は22年の状況を想起させるような、さまざまな潜在的な影響をもたらす」と語った。
国債利回りが高止まりし、企業が継続的に高い借り入れコストに直面することになれば、株式投資家も打撃を受けるだろうとも述べた。22年には米国債利回りが急上昇し、S&P500種株価指数は19%下落した。
原題:Apollo’s Slok Says Rising Treasury Yields Risk a ‘Truss Moment’(抜粋)
--取材協力:Cecile Gutscher.
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Alice Atkins, Lisa Abramowicz