サラ金で借りる人が多いのはなぜ?/木暮太一のやさしいニュース解説
日本人で消費者金融の利用経験がある人は何人いるでしょうか? 正解は、約1500万人。国民約8人に一人の計算です。 また、5件以上の消費者金融から借金をしている多重債務者はどれくらいいるでしょうか? 答えは107万人です(日本信用情報機構調べ)。 2012年の出生数が103万人(厚生労働省)ですから、生まれた赤ん坊がすべて多重債務者になってしまうような状況です。それだけ多くの日本人が借金で首がまわらない状態なのです。
利用目的は「生活費の補てん」
生活が苦しいとはいえ、途上国と比較したら、日本では随分豊かな暮らしができるはずです。どんな不況時にもアルバイト求人誌には人材募集が載っています。もちろん、個々人によって様々な事情があるとは思いますが、総じて観れば「働き口」はあるのです。 では、なぜこんなにも借金漬けになってしまったのでしょうか?
NTTデータ経営研究所の調査(2012年)によると、消費者金融を利用する目的は、円グラフのように分類されます。 このグラフをみると、生活を維持するために借り入れをしている人が1/3以上いることに気が付きます。これらの人はつまり、「生活費の補てん」として消費者金融からお金を借りているのです。 日本は、経済大国だったはずです。生活をするために借金をしなければいけないから、という理由がこんなにも多いことに驚きを隠せません。 日本の失業率は、先進国の中でも低水準をキープしています。「上がってきた」と言われてはいますが、それでも欧米に比べたら、「かわいいもの」です。みんな仕事をし、給料をもらっているのです。それなのになぜ借金をするのでしょうか? 経済学から見ると、いくつかの「理由」が見えてきます。今回はそのうちの一つ、「給料」についてご説明しましょう。
給料が下がっても生活水準は下げにくい
数年前からワーキングプアという言葉を聞くようになりました。ワーキングプアとは、正社員あるいは正社員と同じくフルタイムで働いても生活維持が困難といわれる、 “貧困層”のことを指します。国によって定義が異なりますが、生活保護の受給額よりも収入が少ない人(年収換算で約200万円程度)、というイメージです。 このような状況の人が日本には今、約705万世帯といわれています。