サラ金で借りる人が多いのはなぜ?/木暮太一のやさしいニュース解説
棒グラフは日本人の平均年収の推移を表しています。日本のサラリーマンの平均給料は、15年前(1997年)では467万円でしたが、2011年では409万円まで下がっています。じつに年収58万円、月収に換算して約5万円もダウンしているのです。これが「日本人の借金漬けを助長している、ひとつの原因」だと思われます。 給料が減ったとしても、だからと言ってすぐに生活レベルを引き下げることは簡単にできることではありません。生活水準を上げることは簡単ですが、下げることは感情的に難しいのです。だから、給料が減った分、借金をして「生活費を補填」しまうのです。 この7月から食用油や小麦粉、マヨネーズやパンなどのメーカー出荷価格引き上げが相次いでいるようです。円安や原材料高を映し2~12%引き上げる考えで、「2008年以来の値上げラッシュ」ともいわれています。これらの卸価格上昇は、やがて食品の店頭価格に反映されるでしょう。 アベノミクスで狙い通り景気がよくなっても、給料が上がるタイミングはまだ先です。昇給は年に1回の企業が大半ですから、それまでに物価が上がってしまうと、その間、生活は窮屈になっていきます。 また、給料が上がったとしても、永続的に上がり続けるとは限りません。この15年間、下がり続けてきたのです。またいつ下がるかわかりません。一時的に「リッチ」になったからといって、浮かれて生活レベルを上げてしまうと、後々自分が苦労することになる可能性もあります。 景気が上向いていきそうな今だからこそ、しっかりお金について考えたいですね。 ----- 木暮 太一(こぐれ・たいち) 経済ジャーナリスト、(社)教育コミュニケーション協会代表理事。相手の目線に立った伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学などで多くの講演活動を行っている。『今までで一番やさしい経済の教科書』、『カイジ「命より重い!」お金の話』など著書36冊、累計80万部。最新刊は『伝え方の教科書』。