ハリス氏、経済政策を概説-新産業や中間層の支援確約
(ブルームバーグ): 米大統領選の民主党候補、ハリス副大統領は25日、ペンシルベニア州ピッツバーグで演説し、新たな産業に資金を提供し中間層を支援する「機会の経済」を説明した上で、企業の幹部および従業員の双方の味方になると強調した。
ハリス氏が自らを企業と労働者保護の強化を目指す経済的現実主義者と位置づけていることは、大統領選の主要な争点の一つに対する有権者の懐疑心を覆す試みと言える。ハリス氏は経済成長の原動力となる強力な中間層を築く方法として、製造業と中小企業への投資、家庭への税制優遇、子育て支援などを支持すると確約した。
ハリス氏は演説で、「私はこれまでも、そしてこれからも労働者と労働組合の強力な支持者であり続ける。また米国で雇用の大半を創出している人々を巻き込む必要があるとも信じている」と指摘。「私は資本主義者であり、自由かつ公正な市場を信じている。安定した事業環境を作るには一貫した透明性のあるルールが必要だと確信している」と述べた。
ハリス氏はバイオものづくり、航空宇宙、人工知能(AI)、ブロックチェーン、原子力エネルギーなど「次の世紀を定義する」分野への支援を約束し、新たなプロジェクトの創出を遅らせる官僚主義を改めると公約した。
演説の最後には82ページにわたる経済政策集が配布され、より詳細な内容が示された。その中でハリス氏は、米国が中国などの競合国と競争できるように数百億ドルを提供する税制優遇「アメリカ・フォワード」を支持。これには企業が既存の製造業や農業、エネルギー業に投資したり、労働者や労働組合と協力して雇用を維持したりした場合の追加給付も含まれるという。
この計画では、鉄鋼生産における排出量削減のインセンティブ、AI向けデータセンターの設置、国内半導体産業への追加支援も求めている。ハリス氏はまた、電池から防衛システムまであらゆるものに使用される材料の備蓄が米国の経済および国家安全保障に必要だとして、重要鉱物の国家備蓄を創設すると確約した。