東京2025世界陸上のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二（中央）。右はアスリートアンバサダーの北口榛花

東京2025世界陸上財団は5日、来年9月に東京・国立競技場で開催される世界選手権のスペシャルアンバサダーに、俳優の織田裕二（56）が就任したことを発表した。 織田は、1997年から13大会、世界陸上のキャスターを務めた。2022年オレゴン大会を最後にキャスターを降りたが、今大会のスペシャルアンバサダーとして再び世界陸上の舞台に戻ってきた。前回東京で世界陸上が開催されたのは34年前。織田は「私たちの世代にとって東京で世界陸上が行われるのはない。一生に一度のチャンスだと思ったら、前日寝られなくなりました」と興奮気味に語った。 この日は国立競技場で、アスリートアンバサダーによるスペシャルリレーが開催された。会場に足を踏み入れた織田は、第一声で「帰ってきました」と観衆に手を振り、沸かせた。リレーは、織田がスターターを務め、1走・橋岡優輝（富士通）、2走・田中希実（ニューバランス）、3走・北口榛花（JAL）、4走・サニブラウン・ハキーム（東レ）で夢のバトンをつないだ。 レース後の記者会見には、織田さんも参加。1999年生まれの田中を見て、「あれ、もしかして97年って生まれる前？　そのくらい気が付けば長い間一緒に番組をやらせていただいて」と感慨に浸った。 織田が世界選手権のキャスターを初めて務めたのは、97年アテネ大会。当時を振り返り、「スポーツはやるのが好きで見るのは全く興味がなかった。陸上も全然わかりません、と。『そういうあなたにぜひやってほしいんです』と言われて始めた」と明かした。そこから13大会連続で現地から熱気を伝え、「僕にとっての陸上はトレーニングで、ゲーム性がない、苦しいくらいのものだった。それを変えてくれた。知らないことって怖い、いろんなことを食わず嫌いじゃなくて知ることが大事と教えてくれたのが世界陸上」と語った。 会見では、サニブラウンに〝お願い〟をする場面も。男子短距離個人で唯一メダルを取ったことのある200メートル（2003年末次慎吾の銅メダル）を引き合いに、「〝サニ選手〟に求めているのは、100の練習だけでなく200の練習もしてほしい」。サニブラウンは「大人しく200メートル走ります。自分も進化しているけど、世界も毎年より前にいっている。人生をささげるくらいやらないと勝てない。100だけじゃなく、200、リレーも全身全霊をかけて頑張っていきたい」と期待に応えるべく意気込んだ。