FRB、大手31行全てが今年のストレステスト通過-株主還元に道開く
(ブルームバーグ): 米大手銀行は米連邦準備制度理事会(FRB)による今年のストレステスト(健全性審査)を通過し、株主還元を増やす上での道が開けた。金融業界は別途、銀行の資本規制強化に関し、大幅に緩和された修正案を待っている。
FRBは26日の発表文で、いずれの大手金融機関も仮定に基づくリセッション(景気後退)を通じ最小限の資本要件を上回ったと指摘した。今年のストレステストは資産規模が1000億ドル(約16兆円)以上の31行を対象とした。
ストレステストは2008年の金融危機を教訓として実施されるようになったもので、今回は対象の銀行グループが全体で約6850億ドルの損失を被るとし、昨年のシナリオよりも大幅な資本の落ち込みを想定したが、「最近のストレステストのレンジ内」だとFRBはコメントした。
こうした仮定の下で、最も質の高い規制目的上の自己資本と見なされる普通株等ティア1(CET1)比率はグループ全体で9.9%にまで落ち込むものの、最小要件の4.5%を大きく上回ったとしている。
FRB、銀行資本規制強化案の大幅緩和検討-修正案提示と関係者
FRBのバー副議長(銀行監督担当)は発表文で、「当局のストレステストの目的は、ストレスが高まったシナリオで銀行が損失吸収のための十分な資本を保有するよう確実にすることだ」とし、「このテストは各行についてそれを示すものだ」と論評した。
今年の「最悪」シナリオには、米失業率が10%に達し、株価が55%下げ、商業用不動産価格が40%下落することなどが含まれた。昨年の場合と同様、大規模なトレード事業を持つ小集団についてはさらに、株価下落や短期米国債金利の急上昇、ドル安など「グローバル市場ショック」要素が加味された。
FRBは大手銀行のヘッジファンドへのエクスポージャーに絡んだ潜在的リスクにも言及した。
原題:Big Banks Sail Through Stress Test in Harbinger for Payouts (1)(抜粋)
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Katanga Johnson